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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第56話 教会で待つ少女
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 それは、チューリップ3号がヘルマン軍を蹂躙する直前の事。
 フレッチャーは その大きな身体を揺らしながら笑っていた。

「ぶふふふ。もし破れかぶれで突っ込んできても、魔物使い、デカントを中央に据えておけば、簡単には突破されないぶー。……ぶふふ、黒の老将 今回は逃がさず首を上げて、トーマへの土産にでもしてやるかぶぅ……」

 今後の戦況を、その行く末をまだ知らないフレッチャーは ただただその肉塊を揺らしながら、笑っていた。自分の運命、命運が尽きるとも知らないで……。


 そして、それは来た。 


 その耳に軍靴の音と……何やら それに混じって聞いたことのない地響き。

「……? なんだぶー? この音……」

 それが終演を告げる足音だとはフレッチャーは思いもしなかった。

 現れたのは 《走る鉄の箱》。

 ヘルマン軍がそう形容してしまうのも無理は無い事だった。見た事の無い代物だからだ。明らかに巨体だと言うのに、この戦場で何よりも早い。まるで、鋼の暴れうしの様なもの、とも形容出来た。

 それこそが、マリアが開発した、攻防完璧な移動型要塞。戦う車。戦車(チューリップ3号)だ。

 その装甲は ヒララ合金製。攻撃は大量の鉱石から生み出されるエネルギー。これまでの弓矢、そして剣等と言った既存兵器では 相手にならない

「(敵は横に広い陣形をとっていた。このままだ突っ込めば囲まれる、と危惧したのだが)」

 合流していたバレスの脳裏には、その危険性を浮かべていたのだが、皆無だった。広く陣形を広げすぎた為か、圧倒的なチューリップ3号の勢いを殺せれていないのだ。そして、何よりも巨体のデカントをも吹き飛ばす砲撃。命が紙切れの様に吹き飛び、散っていく 惨状を見てしまえば 己が身を張って止めようとする者等 現れる訳もなく、士気も低下する。

「(『ランスを侮るな』 確かにそうでござったな。ユーリ殿)」
「バレス将軍」
「うむ。このまま、香車の早打ちで、王手をかける。各軍将にも伝えよ! 向かってくる者以外は目もくれるな! 敵将を打ち討ち取る事だけを考えよ!」

 バレスの号令の元、チューリップだけではない 解放軍の兵力。リーザス軍達の猛攻も始まった。横に広がっている以上、チューリップの進撃こそはとめられないが 全ての兵士をなぎ払う事も出来ない。打ち損じ、広がりゆく兵もいた。敵将を討つ事を最優先とし、猛攻が始まったのだった。



 それを見てしまったフレッチャー。怒涛のごとく攻撃をしてくるリーザス解放軍に、数の利が全く効かない状況。

「あ、な、ななな……!!」
「なんて…… リーザスの兵器。あんなものを作っていたと言うのか……?」
「剣や弓矢では歯が立たない……ッ」

 フレッチ
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