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英雄は誰がために立つ
Life16 追い詰められたゼノヴィア
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 「――――ああ。アザゼルたちは色んな意味でこれに不気味さを感じた様だな」
 『―――――――――――』
 「お前の言う通りだ。神器(セイクリッド・ギア)の研究に精を出し過ぎて全く気付いていないだろうな」

 一拍置いてから世界中の神器(セイクリッド・ギア)所持者や研究者などを思い出しながら、仮面の下で嘲笑うように嗤った。少なくとも表面上は。

 「神器(セイクリッド・ギア)とは文字通り神器(・・)だ。ならば力の強弱関係なく、世界に当たる影響は調べると思うがそれをしないと言うのは、良くも悪くも研究者と言う事だな」
 『――――ええ。神器がどれだけ世界を蝕んでいるのか知りもせず、気付きもせずにね』

 世界の無知に憤る様にその人物は、静かに怒りに打ち震えていた。


 −Interlude−


 特訓日20目

 一誠は、タンニーンに送られてグレモリー城に戻って来てから直に祐斗と合流を果たして廊下を歩いていた。
 そこに体中包帯だらけのゼノヴィアが、暗い雰囲気を纏わせながら立っていたのを見つけた。

 「ゼノヴィア?」
 「如何したんだい?」
 「・・・・・・・・・・・・ん?木場とイッセーか。丁度良かった。誰に頼もうか悩んでいた所だったんだ」

 2人に気付いたゼノヴィアは、暗い面持ちで近づいて来た。
 その暗さから、かなりの真剣な話と感じて、揃って身構える。

 「僕たちなら大概の事は聞くよ?」
 「だから元気出せよ」
 「ありがとう、2人とも。それじゃあ頼みと言うのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私を殺してくれ」
 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・は?』

 あまりの斜め上の頼みごとに固まる2人。

 「今の私は悪魔だから、木場が聖剣か何か作ってから私の心臓に突き刺して欲しい。それで全て終わる」
 「ちょ!?ゼノヴィア落ち着け!」
 「一体何があったんだい?士郎さんに真剣な告白をしてフラれたとかい?」
 「違うんだ。実は――――」

 そうしてゼノヴィアは語り始めた。
 あの後、ゼノヴィアはモードに無手のまま圧倒されて何度も何度も負けてしまい、いつの間にか上下関係が構築されてしまい、遂にはゼノヴィアの心が打ち砕かれそうなところまで精神的に追い込まれて行ったらしい。

 「大丈夫、だいじょうぶさ!!」
 「ああ、ゼノヴィアの強さは俺達が保証するから頑張れ(・・・)!!」

 一誠はよりにもよって、鬱状態の人間に言ってはならない禁句を言ってしまい、ゼノヴィアは死の決意をした。

 「そうか。私はこれ以上に頑張らなきゃいけないのか・・・・・・・・・・・・死のう」
 「――――待て待てゼノヴィア、早まるな!?」
 
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