暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第195話 深い闇
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 都市廃墟に轟く一発の銃声……、それは正に《冥界の女神(ヘカートU)》の名に相応しい断罪の一撃だった。

 シノンは、へカートの照準を合わせる。横転した車両の上部にいた死銃を狙って撃ったのだが、その断罪の一撃は惜しくも外れ 車両本体を穿った。

 その威力から、車両本体を吹き飛ばし、更に爆発・炎上をさせる。多少過剰演出とも取れる爆発だが、GGOフィールドに配置されている車両等の人口オブジェクトの殆どがプレイヤーが掩体として利用するためのもの、そして それを利用するのには当然リスクがある。銃ゲーに相応しいリスクがだ。銃火器・爆発物系で車両にダメージを与え続けていけば、当然炎上し、果ては爆発する。

 この辺に放置されている廃車両も、それは例外ではない。

 ……もう、随分前に壊れたヤツだろ、と思いがちだが、ゲーム内での派手な演出を……、と言う裏事情は置いといて、設定上ではガソリンをタンク内に残している場合がある。と言う理由で、爆発・炎上する仕様になっているのだ。

 シノンのへカートの一撃が爆発を誘発させた理由はそこにあった。だが、彼女の中で、様々な感情の渦に飲まれかけている彼女の中で、言葉が浮かんでくる。


――……外した。


 シノンは、身体から力が抜けていくのを感じながら、口の中でそう呟いていた。へカートの弾倉には、まだ弾が残っているが、もうボルトハンドルを引く気力すら沸かない。今回の一撃も、自分自身の腕だけでなく、もしかしたら冥界の女神自身のプライドが完全なミスショットを拒否したのだろうか? とも思えてしまう。

 だが、それよりも あのシノンの精神状態で、へカートを発砲出来た事さえ奇跡とも言える事だろう。

 過去の闇に囚われてしまった時の苦しみ。

 それは、ここにいる誰もが知っている。シノンのその根源事態を知る由もないが、それでも何かを抱えている事は、当初は薄々だったけれど、今はもう皆が理解をしていた。









〜ISL ラグナロク・砂漠エリア〜


 そして、三輪バギーを走らせていき 当初の合流地点だった砂漠エリアへと到着した。
 遮蔽物の類は一切なく、身を隠せそうな場所、弾丸から身を守れそうな場所は……、いや場所とは言えないが、砂漠に生えているサボテンくらいなモノだった。後は延々と砂の大地が広がっている。

「……やれやれ、こうも見晴らしがいいと隠れ様にもなぁ……」
「全エリアの中で、最も見晴しが良いから、合流しやすい。そう思ってこの場所を合流地点に選んだんだが……失策だった、か? いや…… そうでもないか」

 キリトとリュウキは並走運転をしつつ、砂漠を横断している。2人の会話……といっても、シノンにはキリト側の声しか聞こえてこない
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