暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第194話 ただ1つの選択
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 初戦同様、死神との決着は付けられず仕舞だ。
 迷彩の効果を差し置いたとしても、あの死神の技量は驚異の一言と言えるだろう。そして、思い出したくない事だが、最初の出会いの時に撃った死銃の効果は、死亡しているアバターにも効果も確認済みだ。……故に、自分達があの男達を倒さないと、彼女に危険が付き纏うも同然だ。

「……守る」

 リュウキは、眼を瞑り……そう呟いた。
 視覚的情報を遮断する、と言う行為は、サバイバル戦において、愚の骨頂とも呼べる行為だが、5感の1つを縛る事で、他の感覚が研ぎ澄まされる。視覚で捉えにくいあの迷彩を看破するには、他の情報。何よりも聴覚に力を入れるのが確実だろう。

《足音》《衣擦れ》《呼吸音》《心音》そして《銃声》

 それに人間とは、音の塊だと言っていい。
 この世界でも、それは同じだ。仮想世界とはいえ、現実を100%トレース出来ている訳じゃないとは言え、その音の情報は顕著に表れる。

 眼を瞑っていた時間は数秒程度、……100%確実と言う訳ではないが、どうやら、もうあの男はこの辺にはいない様だ。

「合流、しないとな」

 リュウキは、眼を開けると、合流場所として、候補を上げていた砂漠エリアを目指す事にした。……その直後!

「っっ!!!」

 凄まじい爆発音が、この都市廃墟中に響いていた。プラズマ・グレネード、いや それ以上の爆音だ。

「……向こうか!」

 かなり反響した爆音だったが、空気の震えや、爆発による炎も立ち上っていた為、正確に位置を把握する事が出来た。リュウキは、その場所に目掛け、走る。


 走り始める時、一瞬、2人の事が頭を過ぎった。


 でも、心配はしてなかった。
 頼れる友が傍にいるからだ。例え、死神が死銃と合流したとしても、簡単に殺られる男じゃない。でも、2対1では分が悪過ぎるのは事実だ。

 リュウキは、考える事を止めると走る事だけに集中し、崩れ落ちている廃墟、辛うじて形だけを残している廃墟、壊れた軍用車、乗用車、大型バスが散乱された道路越え、……所々陥没し砕けているコンクリート舗装道路を駆け出していった。






 それは、リュウキと死神の一戦がまだ続いていた頃。


 キリトは、シノンを抱えて走り続けていた。リュウキが2人相手に抑え続けてくれている様だが……、暫くして影が見えだした。

「っ……!!」

 シノンは、それを見て再び強く震える。
 キリトも、それを感じ取った様で、走りながら一瞬だけ後ろを振り返る。追いかけてきたのは、ぼろマントの男。……いや、どちらもぼろぼろのマントを装着しているから……、区別をつけるとすれば、赤い眼を持っている男の方、と言えるだろう。

「(……赤い、眼)」

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