暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
[15/15]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
の立案すら出来ないんだ。
 とにかく、どういった物か聞いてみよう。内容を詰めていくのはそれからだ。
「連中の企んでいる事は分かって――」
「あら、平井さん?」
 シャナが内容を言い始めた所で、思わぬ場所からよ声に会話を中断される。
「い゙っ!?」
 ベランダの下からかけられた呑気な声は千草さんのものだった。
 ――俺とした事が、遠坂のうっかりが伝染ったか?
 この部屋のベランダは玄関の真上に有るんだから、新聞を取りに外に出た千草に気付かれない訳がない。
 時間の確認もしないといけなかったのに、朝から一戦やらかしたので完全に頭から飛んでしまっていた。
 ――――マズい、かなりマズい。
 シャナは今、部屋のベランダに腰掛けている。
 こんな光景を端から見たら、あらぬ誤解を受けることは間違いない。
 まるで朝からシャナを部屋に連れ込んでるみたいじゃないか。
 俺は急いでベランダから顔を出す。弁明は早い方がいい。大丈夫、相手は千草さんだ。シャナとは違って話が通じない訳がない。
「ち、違うんだ千草さん! これは………」
「おはよう。どうしたの、こんなに朝早くからそんな場所で?」

 ――――ハイ?
 そこを質問されるとは思ってなかったよ!
 普通、今はそこは気にしないだろ?
ここは「なんで平井さんがいるの」とか「士郎くん……なんてことを」とか「責任は取りなさいよ」とかだろ?
 なんと言うか、どこかズレてないか?
 天然にも程があるぜ、千草さん。
「え〜と、ちょっと一跳び」
 訂正、この人だけじゃない。
 お前もだシャナ。なんだか根本的にズレてるだろ、その返事も。
「あらあら、お転婆さんね」
 会話が……成立してるよ。
 俺は思わず脱力して、部屋に戻った。
 なんでさ? おかしいと思うのは俺だけなのか?
 いや、逆に俺がおかしいのか?
 アラストールに聞いてみたいところだが、今、それが叶う筈もない。
 とにかく、俺にはこの不思議時空には着いていけないよ………。


 結局、その後シャナは昨晩に続いて朝食もご馳走になった。
 今さらシャナを追い返す訳にもいかないし、あまりに自然な流れで有無も言えなかったのは、言うまでもない。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ