暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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ストールのダンナ! そのうち、一杯奢るからな!

 取り敢えずはシャナも許してくれたってことにしとこう。何はともあれこれで一件落着か。
 ありがたいことに敵の襲撃もなかったし、願わくば平和な一日であって欲しいよ、全く。



  ◇



「取り敢えず、現段階ではまだ都喰らいを発動させるだけのトーチは用意されていないわ」
 先程まで荒れようとは打って変わって、真剣な表情でシャナ。
 ちなみにもう制服は着ている。
 あれだけの激昂を見せた彼女も、今はベランダの手すりに腰掛けて、真面目に作戦会議中だ。
 オン・オフの切り替えが早いのは、お兄さんも嬉しいね。
「だが、早急に手を打つ必要がある事は変わらん。しかし、彼奴らも我らに察知される事を恐れてか。一昨日以来、封絶と乱獲は行っておらん」
 いつもと変わらない重苦しい声でアラストール。
「つまり、どちらも手詰まりって事か」
 シャナから離れた位置に座って俺。
 変に刺激でもしたら怖いだろ? だから距離を取ってるのさ。
「取り敢えず、俺っていう餌が有るんだ。なら、そこらをウロウロしとけば良いんじゃないか? 睨み合いを続てる内にもトーチは消えていくんだから、連中から焦れて動き出すだろ」
 基本的にトーチは意図的に増やさない限り、必ず減っていく。つまり、俺と同様、存在が消えていくってことだな。
「まぁ、そうなるわね。いつも通りの事よ」
 話を聞く限り、フレイムヘイズは基本的に後手に回ってしまうのが常の様だし、作戦会議というよりは状況整理に近いが……。
「企んでいること自体は断定出来ないけど、奴等が何を準備しているかは分かっているんだ。何か奴等を妨害出来る手は無いか?」
 そう俺が言うとシャナはため息をつく。

「そう都合の良い手があれば苦労なんかしてないわよ」
 ですよねー。簡単に妨害されるような間抜けな訳もないか、あのフリアグネは。
 どう見てもくせ者だろ、アイツ、。
「いえ、ちょっと待って。奴等はトーチを大量に用意する必要があるわけだから………」
「何か手があるのか?」
 そもそも俺に紅世の徒との交戦経験は無い。この手の話ではシャナだけが頼りだ。
 ………情けない話だが。

「多分……有効だと思う。連中が都喰らいを企んでいようと、いなかろうと、噛みついてくる筈」
「つまり―――」
 ―――どういうことだ?
 と質問をしようとしたところで、
「どういう事だ?」
 俺よりも先にアラストールが質問をした。
 その声に、いつもの重苦しさはない。
 今のところ、俺たちにはシャナの策とやら以外に策らしい策がない。従って、アラストールも一抹の期待しているのだろう。
 現状を打開できる決め手であれば良いのだが。いや、他に策はないんだし、俺には作戦
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