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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
外伝1 哀戦士
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のだと言われた。俺は答えを出せるのだろうか、その答えに納得して死ねるのだろうか……。

「……だが卿は敗けなかった、勝った」
「そうだね、アントン。私は勝った。彼の弱点である政略面を突いて。勝利が確実になっていくにつれ辛くなったよ。自分の夢が、願いが潰えてしまうと。侯は私にとってもう一人の私だったんだ……」
「……」

「私は何処かで貴族連合軍の勝利を願っていなかったのだと分かったよ。戦うために色々と準備をした、でもそれは勝つためというより無様な負け方をしてローエングラム侯に軽蔑される事を恐れたからだ。憐れまれるくらいなら憎まれたかった……」
「だから、ローエングラム侯をあんなにも貶めたのか? あれは自分の心を叱咤する為か? ローエングラム侯は敵なのだと……」
ブラウンシュバイク公が問うとエーリッヒは“はい”と頷いた。

「そして私を侯の心に焼き付けたかった。忘れて欲しくなかったんです。一騎打ちも勝てると思っていませんでしたし勝つつもりも有りませんでした。ただ最後にローエングラム侯に思う存分戦わせたかった。艦隊戦では死者が多く出ますから……」
「だから一騎打ちを……」
呻くようなリッテンハイム侯の声だった。

「ええ、侯の怒り、悲しみを私が受け止めようと思ったんです。それが私に出来る唯一つの事だと思った」
「償いか? エーリッヒ」
エーリッヒが首を横に振った。
「違うよ、そんな傲慢な事は考えていない。私の望みだ。侯と共に生き侯と共に死ぬ。侯の居ない世界に私は耐えられないと思った。実際今も酷く寂しい。何もする気になれない」
事実だろう、今のエーリッヒは酷く寂しげで頼りなさそうに見える。

「皮肉だな、卿が勝つとは」
ブラウンシュバイク公が嘆息を漏らすとエーリッヒがまた首を横に振った
「勝っていません。あの時私は心臓を庇った。ですがローエングラム侯は自分の喉を庇わなかった。無防備に私の上に倒れこんで来た。今でも思い出します、喉を切り裂かれるその瞬間まで侯は楽しそうに笑っていました。侯は勝つ事を望んでいなかった。戦いの中で死ぬ事を、私に殺される事を望んでいたんです。多分全てに絶望していたのでしょう」
「……なんと……」
リッテンハイム侯が呻きブラウンシュバイク公が首を横に振った。ブラウラー大佐は痛ましそうにエーリッヒを見ている。エーリッヒの眼から涙が零れた。一筋、また一筋……。

ローエングラム侯が天才ならエーリッヒはそれに匹敵する傑物だった。その二人が共に死を望んでいた。一人は全てを失った絶望から、もう一人は大切なものを失う絶望から。二人が協力すればどんな世界が現れたのか……。エーリッヒ、辛かっただろうな。敵も味方も大切なものも全て殺す。狂う事でしか成し得なかっただろう。ベルセルク、そう思った……。

「ロ
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