暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第179話 右手の悪夢
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ainは、ゴーグルを上にあげ、肉眼でも確認した。カーソルがしっかりと現れる。間違いなくプレイヤーだと言う紛れもない証拠だ。そして、そのプレイヤーの髪は鮮やかな銀髪。闇夜の中でも、僅かな星あかりに反射して、はっきりとそれを見ることが出来た。……長い髪を。

「(くく、ひょっとしたら、女、それも初心者かもなぁ……、本当にラッキーだぜ)」

 喜々としながら近づいていく。
 髪が長いプレイヤーなど別に珍しくもない。だが、マントの様な迷彩服が風に靡いたと同時に髪も一緒に靡いたのを見た。そして、その髪を手で抑えている仕草を見て、もしかしたら、と思った様だ。これまでで、マントを使用している男プレイヤーはいなかったこともあったからだ。

 そして、ゆっくりと近づいていく……、視界に表示されている距離、スコープで表示されいてる距離は約10m程まで近づく事が出来た。

 建物から、出ている気配は全くない。

「さて……一気に距離を詰めるか。お楽しみタイムってなぁ!」

 トミーガンを構え、完全戦闘体勢となり、Painは建物に突入するのだった。







〜総督府・予選会場〜



 予選会場である、総督府の地下。
 そこでは、第3回BoB開催のカウントダウンを刻んでいた時刻を表示していたモニタは、多分割画面となり、其々の予選の状況を映し出していた。その画面の中には、数々のプレイヤーが映されては変わり、映されては変わり、のローテーションを繰り返していた。

 息を飲む狙撃のシーン。
 怒号と共に弾丸を何百発も撃ち放つ轟音。爆弾が仮想世界の大地をも揺らす。その中で、一際異形な姿を映していたのは、黒い彼女だった。

 銃の世界だと言うのに、その手に持たれているのは、銃ではなく、剣。光の剣、光剣(フォトンソード)が握られている。昔の大作映画宜しく、銃弾を、ライフル弾を 剣で弾く弾く。

 その衝撃音に、驚きを隠せれない。

 場は、これまでに見た事のない、いや実践したプレイヤーがいなかったのだろう、そんな場面に息を呑んでいた。その剣は、まるで剣舞。銃弾を弾き、或いは躱し、その度に彼女の黒髪は美しく靡く。獰猛な男達ばかりである、この場のメンバーは声援を送る事も忘れ、息を飲んで見つめているのだった。

 だが、その内の2人だけは違った。

 片方は、もう既に予選1回戦を突破しており、云わば高みの見物。そして、もう1人は……最初からこの場にいた。食い入る様に見つめているのは、モニタに定期的に移されるプレイヤー。主に、交戦しているプレイヤー達を優先的に映されている様だ。

「……この、剣技。これ、は」

 ボソリ、と呟くその声は男のもの。姿はぼろぼろのマントに包まれており、その素顔は見る事が出来ない。
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