75話
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さるような音を立ててコロニー内部へと吹き飛んでいった。
ビームサーベルの発振を抑え、男はコロニーの内側を見据えた。
暗い世界。分厚い雲を隔てた向こう側でマズルフラッシュの鮮烈な白が裂ける。
ニューエドワーズの基地施設に興味は無い。あちらは見た目が派手な陽動に過ぎないのだから。
スラスターを踏み込む。コロニーの中央を挟んだ向こう、敵がいる。光芒を引いた灰色の巨躯は地表を抜け、厚い黒雲を切り裂く。
雲を突き抜けた先、視界に広がるコロニーの市街。
全天周囲モニターにフォーカスされた映像が投影される。
(隊長!?)
息を飲む。
ダークブルーの体躯に灯る緑色の単眼。光の尾を引いた体躯が躍動し、ビームサーベルを振り下ろす。月影の閃きが鮮烈に闇に刻まれ、諸共に《ネモ》を肩口から切り裂く。
漆黒の《ゲルググ》の単眼がひたと《リックディアス》を、そしてその向こうの自分/敵を、睨みつけた。
男の目に、その金色の羽撃きが飛び込んだ。
肩に戴いた黄色の猛禽が真紅の星を抱いた、その、モティーフ、は―――。
「03、お前は後方から狙撃に回れ! 02は俺と共に指定座標に奴を追い込むぞ!」
絶叫のように声を迸らせる。応の声を遠くに聞きながら、男は《リックディアス》を遠くの《ゲルググ》に相対させた。
※
モニカ・アッカーソンは、酷く疲労が溜まった顔でそのMSを見上げた。
白と黒に染められた《Sガンダム》。その盲い瞳は、どこかの虚空を睨むようにしていた。
「ありがとうございます……助けていただいて」
背後を振り返る。
壁際に寄りかかって、モニカの言葉に対してただ頷きを返すだけの男は、先ほどモニカを救助しに来たMPの少佐とは違う人物だった。
ペイルライダー。そう名乗った男は、黙然と《Sガンダム》を見上げていた。
マーサ・ビスト・カーバインからの使者だというこの男が来なければ、果たして自分はどうなっていたのだろう。MPの少佐を名乗っていた男につれられて居たところにこの男が現れて、ものの1分でMPを制圧したのがつい1時間前。この地下格納庫までこの男の護衛が無ければ、途中でまた捕まるかどうかしていただろう。ジャケットの裏に感じるMB17の感触は、17歳の貧弱な少女にとってはあまりに重鈍だった。
ペイルライダーを名乗る男が身体を起こす。モニカの脇を気にした風でもなく通り過ぎ、当てもなく立ち尽くしては恐々と雑談をしている整備兵の群れを抜け、男は《Sガンダム》の足元でその偉容を見上げた。
マーサにつながりがあるのなら、この男もまたこの『ガンダム』の存在を知る人間なのだろう。《Sガンダム》の姿を眺める東洋人風の男の目はどこか色無く、それでもどこか既に忘却された時間を一生懸命掘り起こして懐かし
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