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101番目の舶ィ語
第三章。音速を超えしもの
第七話。遭遇
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となんだろう。

「貴方には私やキリカさん、音央さん、鳴央さんと、かなり強いカードが揃っていますので、上手くやればいけると思っていました」

『メリーズドール』『魔女』『神隠し』……すでに裏技を使って物語にしたかのようなラインナップだよな。
どの都市伝説もおいそれと手が出せないくらいの強さがあるみたいだし。

「そんな私たちを上手く使いこなし。他の『主人公』を貴方がやっつけて、自分の物語に出来てしまえば……」

待て。一之江は今なんて言った?
他の『主人公』をやっつける、だって……?
ということはもしかして……

「そうすれば、その『主人公』の持つ物語が俺の物語になる、のか?」

「その通りです」

ここでようやく、『主人公』という存在が何者なのか理解できた。
様々な都市伝説を自分の物語として取り込み、強さを増す『伝説』。
それがよく物語で見るような『英雄』や『勇者』なんだろう。
主人公は倒した存在の持っていた物語を吸収する。
吸収した物語を取り込むことで物語としての質が上がる。
そして俺はいずれ『百』の物語を集めるとされる『主人公』だ。
______だからこそ、今まで色々なロアたちが俺を見て驚いていたんだな。

……って、待てよ?

「なあ、一之江。俺が『主人公』をやっつければ、その物語が全部俺の物語になるってことは……今さっき聞いた『千夜一夜』に狙われて、もしもやっつけられたら……」

「ええ。貴方はとても容易く取り込まれるでしょう。相手の物語許容量は、実に貴方の10倍ですしね」

自分が誰かの物語になる。
なってしまう……そんな可能性がある。
そうなってしまえば一之江たちの物語すら、相手の支配下の置かれてしまうんだ。
そしてこの俺すらも。
完全に自由を奪われ、後は取り込まれた『主人公』の為だけに存在する『単なる物語』になってしまう。
時には不本意な戦いを強いられ、俺の物語たちが使い捨てのように扱われても逆らうことも出来ない。
その可能性を示唆されただけで、体の芯が冷えるような。
______そんな恐怖を感じた。

「だから……」

俺の手を握る手に力を込めて、真剣な目で俺を見つめて一之江は告げた。

「『終わらない(エンドレス)千夜一夜(シェラザード)』には絶対に近づかないようにして下さいね」

真剣な表情で告げた一之江の言葉に、俺は頷くことしか出来なかった。
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