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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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も殺せる、ただそれだけの存在なのだから。

たった十二歳かそこらの子供が、他人の命を顔色一つ変えずに見捨てたという事実に、老人は微かに畏怖という感情を覚えた。

―――矢車草の《鎖》だけはいまだに健在……。しかし、それは果たして良いと言っていいものやら……。

少年の中で、他者は基本的に生きていても死んでいても仔細関係ないのである。その違いが彼の中で重要視されるのは、基本的に敵か仲間。後者に対しては少年はどこまでも守り尽すが、前者はまったくその逆。

生きていることを赦さない。

その結果が《冥界の覇王》であり、史上最凶のPKK(プレイヤーキルキラー)なのだから。

あの城の中でも――――否、現実世界でさえ屈指の危険人物にして不穏分子。最強で最恐で最凶の、シリアルキラー。

だが、果たして彼の中に《仲間意識》というものがあるのかどうかは、はなはだ疑問視したいところでもある。

―――蓮君にとっては、仲間は常に守らなければならない弱者でしかないのか。

もしそうであれば、あの《絶剣》にとって、あの小さな少女にとって、これほど酷なことはないと言うのに。

誰もいない和室の中、とある老人は静かに言葉を紡ぐ。

「生きることとは、つくづく難しいものじゃな」

だが、意切ることは恐ろしく容易い。

そう続けた老人は、一瞬で数十年も老けこんだような顔で煙管を吸った。

いつもより広く感じられる畳の上に、鹿威しの音が鳴り響いた。
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