第5部 トリスタニアの休日
第5話 運命の密会
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ルイズと似た雰囲気が感じられるが、跳ねるようなルイズの勘気が彼女を子どもっぽく見せてしまうのに比べ、アンリエッタには落ち着きが見られる。
しかし、ウルキオラにはそれ以外はルイズと何ら変わりなく見えている。
「どうかなさったの?」
無邪気な声で、ウルキオラに問う。
ウルキオラは「別に」とそっけなく返した。
「ルイズは元気?」
ランプの明かりの向こう、アンリエッタがウルキオラに尋ねる。
「ああ」
「そう」
アンリエッタはそう呟くと、ウルキオラに言わなければならないことを思い出した。
「毎日伝書フクロウでの報告、ありがとうございます」
「気にするな」
なんと、ウルキオラはルイズが眠った後、アンリエッタに報告をしていたのだ。
「報告した以上の情報はない。まあ、お前にとっては辛い内容だろうがな」
「ええ」
アンリエッタは俯いた。
確かにそうであった。
報告書には、平民からの手厳しい言葉ばかりであった。
アルビオンをただ下から眺めるだけの無能な若輩者。
遠征軍を編成するために軍備を強行しようとしていること、また、それを指揮できるのか。
ゲルマニアの操り人形なのでは?
などといった、知りたくはない真実を聞くことになった。
「女王になるんじゃなかったわ」
「選択肢があったのか?」
アンリエッタは少し考えた。
「ありませんでしたわ」
「だろうな」
ウルキオラはふっと花を鳴らした。
「あなたの世界も、人は争うのですか?」
「それは、俺の種族の世界のことか?それとも、俺の世界の人間の世界のことか?」
「どちらも」
「あまり変わらん」
「どこも同じなのね」
何故かほっとしたようにアンリエッタは呟いた。
「まだ戦争中なのだろう?」
「ええ」
アンリエッタはまっすぐにウルキオラを見つめた。
「アルビオンに攻める気か?」
「そうしないと、この戦争は終わらないもの」
暫し沈黙が流れる。
口を開いたのはアンリエッタだった。
「戦争はお嫌い?」
「好きに見えるか?」
「いえ……でも、あなたはタルブの村で王軍を救ってくれたわ」
「勘違いするな。自分の利益のためだ」
「それから、あの夜、このわたくしも……」
アンリエッタは、顔を伏せて言いにくそうに呟いた。
ウルキオラはあの夜のことを思い出した。
死んだはずのウェールズが何者かの手により蘇り、アンリエッタを攫おうとした夜。
そして、アンリエッタとウェールズのペンタゴン・スペルで腕を飛ばされたこと。
「申し訳ありません」
アンリエッタは、小さな声で
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