暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第1章 光をもとめて
第8話 消滅の対戦
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で勝利をしてきましたから〜……、どちらが、優勢かわかりせんよね〜?」
「そうですね……、申し訳有りませんが、これまでの戦いの相手は力不足としか言えません……。これで、真の実力がわかるかと思われますよ」

 相変わらず目元にマスクを装着しつつ、実況をする。噂では、その素顔はリーザス国家機密だったりしなかったりとか。真偽は定かではない。


 そして試合開始のゴングは鳴っている。だが、まだ動いていなかった、それは互いにだ。


「……楽しみにしていたぞ。こう相対すれば更によく解る。……真の強者だという事が。これまでの連中は家畜も同然の強さだったが」
「……敗者を虐げるのは感心しないな」
「ふ、今のオレにはお前という強者しか見えていない」
「そうか。生憎だが、オレは見られて喜ぶ趣味はないがな……」

 ユーリは、軽くため息を吐きつつ剣の柄を軽く握った。これが、彼の構えだという事は清十郎もよく解っている。だからこそ、彼も二本の剣を鞘から抜き、構えた。

「……神無城 清十郎」

 低く構えた後、自らの名前を言う清十郎。それが何を意味するか、ユーリも直ぐに察した。

「ん? ……ああ、成程。……ユーリ・ローランド」

 清十郎が名乗り、そして一瞬遅れてユーリが名を名乗った。戦いの前にアナウンスはされているのだが、習わしなのだろう。それを、ユーリは察して、名を同じく名乗ったのだ。

「いざ……参る!」
「来い」

 清十郎は間合いを凡そ人間とは思えないほどの速度でつめ、二刀の剣を交差させ左右に振るった。正確にユーリの首筋。だが、ユーリは事前にその軌道は読んでいたようだ。剣を一気に引き抜くと、真下から真上へ斬りあげる逆風の太刀。
 二刀が交差するその一瞬のタイミングで行った為、衝撃が二刀で受けきれず、弾き飛ばされてしまった。

「ぐっ!」

 清十郎は、衝撃を逃がす為、飛翔し後方へと退避した。目の前の男は一切動いていない。ただ、最短で、最速で、剣を振るったのみ。……思わず見とれてしまいそうになる程の太刀筋だった。はっきりと目に見えてしまったのだ。

「……」

 清十郎が、体勢を整えている最中、ユーリは、 ちんっ……と、音を立てながら、再び剣を鞘へと収めた。

 それは、居合いの型。

 これまでの試合では放棄か?とも思われていたが、もう知っている皆。そして、何より今の衝撃で空気が震えたと感じ取った観客は、一瞬沈黙したが、直ぐに大歓声となって、会場に響き渡った。

「す、すげええええ!!!」
「たった一撃で、こんなんなったんはじめてだーー!! ってか何だあれ!?」
「弾けた! 絶対空気を弾いたって!!」

 興奮冷め止まない観客だが、清十郎だけはそうは行かなかった。冷や汗が止まらな
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