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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第123話 四ジゲンと五ジゲンの間にある物
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 ここ最近の見慣れた情景。普段通り、少し緊迫した空気が文芸部々室兼、ハルヒとその仲間たちの意味不明なサークル活動の拠点内を支配していた。

 時刻はそろそろ午後の一時。俺の左右には何時も通りの蒼と紫。ふたりの妙に存在感の薄い少女たちが早々に食事を終え、和漢の書物にその視線を上下させている。
 俺の正面には何故か炎を連想させる少女が、彼女のお気に入りなのか近所のコンビニから買い込んで来た大量の菓子パンを前に、妙にしかつめらしい表情を浮かべながら、ひとつひとつを吟味するかのように口に運んでいた。
 もっとも、表情は非常に真面目腐った、……まるで、これから高尚な哲学の談義を始めそうな表情を浮かべて居る彼女が、実は非常に上機嫌である事は、彼女が発して居る雰囲気から明らか。

 この三人の少女たちが、この部屋を支配している妙な緊迫感を発生させている原因ではないのは確実。

 俺の右斜め前。ちょうど、有希の正面に座る蒼髪の委員長は……。
 自らの手作りらしい弁当――少女らしい可愛らしいお弁当箱に詰められたハンバーグに箸を置いたまま――
 俺と視線を合わせた瞬間、わざとらしくため息を吐いて見せた。

 尚、彼女もこの部屋の支配者と言う雰囲気ではない。

「あの、武神さん、お茶を――」

 向かって左斜め前に存在している黒髪の少女に視線を送ろうとした瞬間、無謀にも俺の左斜め後方から彼女独特の甘ったるい声で話し掛けて来ようとするメイド姿の少女。
 但し、その職業的義務感にも似た勇気も、その一瞬後に発せられた殺気にも似た鋭い気配によって、彼女――朝比奈みくるの続く言葉は封殺されて仕舞った。

 しかし、何故か朝比奈さんは俺の左側から声を掛けて来る事の方が多い。普段の態度などから考えると、どうも彼女は有希の事を苦手にしているようなのですが……。ただ、同じようなタイプの万結に関しては別に苦手にしているような雰囲気がない事は、俺と万結の間から平気で顔を出し、お茶などを差し出して来る事からも察せられる。
 う〜む、性格や雰囲気などを苦手にしている訳などではなく、何か有希本人に朝比奈さんが苦手とする要因があると言う事なのでしょうね。

「ねぇ」

 突然、自ら専用の机……何処から持って来たのか甚だ疑問ながらも、この部室に設置されている教師専用の事務デスクから掛けられる声。

「あんた、何を食べているのよ」

 自分は弁当をさっさと平らげ、非常に不機嫌そうな雰囲気を発散し続けて来た少女が、終に我慢し切れなくなったかのような声……。例えて言うのなら、空腹で今にも襲い掛かって来そうなライオンが出したのなら、このような声で話し掛けて来るのではないか、……と言う声で話し掛けて来たのだ。
 成るほど、彼女の性格から考えると、かなり長い間我慢を
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