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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
現れた悪意
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れを理解しているつもりだった。

だが、何も解かっていなかった。分かっていても、気付いていても、それでも引き込まれる話術。そして、それで相手の気が緩んだところを的確に狙い撃つ戦闘技術も、レンより遥か上。体恤を使われたのも、本来の得物である針を使う価値さえない、という余裕だろうか。

実際、それは正しい。速さだけで言えばあの魔城随一であるレンの反応速度でもまったく捉えることのできなかった先の一撃はマズいという言葉ですら過小評価だろう。

えずくように咳き込む少年に対し、フェイバルは悠然と立ったままだった。まるで話の途中で少し腰を折られた程度の認識であるかのように、こほんと空咳を一つして口を開いた。

「私はピエロで結構。どうぞなんなりと呼ぶといい」

でもね、と一拍おいてピエロの仮面は言う。

「へらへら笑っているだけの愚者(アホ)にはなりたくないってことよ」

ゴバッ!!という轟音が間近で破裂した。

岩塊に半ばめり込むように静止しているレンに向かって、霞むような速度で投げつけられた鋭利な針が的確に四肢を()()した音だった。

そう、貫通ではない。爆砕だ。

長さで言えば三十センチくらいの、針治療にしては少々デカい程度の針。材質は何かは分からないが、決して破壊力は生み出さないはずだ。

理屈の上では。

だが、レンのアバターの四肢から発信される全信号がそれぞれの関節部で発生する圧倒的な痛覚以外全途絶する。

もはや叫び声を上げることすらできない。視界さえ少しだけ薄赤く染まって来たのを幻視した。

少しだけお話をしよう、と。

男にも女にも聞こえない、しかし蜜のように溢れていることを隠さない悪意に塗れた声が脳髄を這いまわる。

語ろうよ。

語り合おうよ。

語り明かそうよ。

「そもそもの、君の根源的なトコについて」

絶望が、君臨する。
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