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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第119話 光速の交響曲
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数倍異常なのだが、大技の終了後には隙が生ずる。キリトの27連撃の最後の一閃まで把握しているヒースクリフは笑みを零しながら確実に捌き。

 そして技の終了の瞬間の技後硬直。


「さらばだ―――キリト君」

 動きが止まったキリトの頭上にヒースクリフの長剣が高々と突き上げられた。だが、キリトは まだまだ狂気の目を崩してはいない。それは、今の状況を把握すら出来ていないようだった。
 これから、自分がどうなってしまうのかを。


――……自分が愛する人を残して逝ってしまうのも、
――……親友の仇を討てず逝ってしまうのも……解っていなかった。


 ただ、ヒースクリフに向かって憎悪を、殺意を飛ばすのはやめなかった。

「ふっ……」

 ヒースクリフはその負の感情を一笑する。そのキリトの怨念の数倍もの憎悪をこの男は受け入れ続けている。だからその程度で、躊躇う事も、怖気付く事もなかった。

 それを見たアスナは、絶句してしまう。

 あの極限とも言える速度の中でもはっきりと見えてしまった。ヒースクリフの狙いを全て……理解して。もう一呼吸するまもなく、キリトは、……キリトは斬られてしまうだろう。
 あの神の剣……魔王の剣に。

(そんな……そんなっ……! 嫌だ……嫌だよっ!!)

 アスナは、震えた。
 もう数秒も無い時間なのに、異常なまでに遅く、スローに感じられる。リュウキに続いてキリトまで失ってしまうのかと。


「お願いッ! 誰か助けてっ!!!!!」


 アスナはその瞬間叫んでいた。

「…………」

 レイナも、そのアスナの悲痛な叫びを聞いて……、涙も乾かず、虚ろな目のままに2人の方を見た。ヒースクリフが剣を振り下ろすその刹那の時。……無情にもキリト目掛けて剣が振り下ろされた所を。

 その瞬間。

 誰しもが思いがけない事が起きた。キリトに向かって振り下ろされていたヒースクリフの剣が当たる直前で止まったのだ。

 いや、思いがけもしない事ではない。誰も起こったことすら、判らない。


――……世界が、止まったのだから。



「っ……!」

 この時、キリトは正気に戻ることが出来た。不可思議なこの状況で。……ほんの一寸先にあの剣が迫っていたのだから。

 自分が殺されかけているのにも気がついた。
 そして、怒りに囚われてしまった事も。


――……キリトは止まった剣を見て息を呑む。


そんな時だった。


『まったく……何やってるんだよ………』

 ふぅ……っ、とため息と共に声が漏れてくる。
 それは、聞き覚えのある……声。……有り得ない声。


――――……ま、まさかっ!


 キリトは振り返ろうとしたが……
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