暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第72話 純真無垢
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逃れようがない筈だ。

「嘘だわ!」

 鋭く反駁したのはアスナだ。そしてレイナが続く。

「あなたは、ブッシュの中で、隠蔽(ハイディング)してたじゃないっ! お姉ちゃんが気づいて、看破(リピール)されなければ動く気もなかった筈だよ!」

 気配を消し、隠れていたとなれば、確かに怪しさは一段階は増すだろう。

「仕方がないでしょう、私はしがない鍛冶屋だよ。この通り丸腰なのに、あの恐ろしいオレンジ達の前に飛び出していけななかったからと言って、責められねばならないのかな?」

 その顔はあくまで穏やかだった。人を手にかけているとは思えない程の顔、だった。その雰囲気はあのPoH達にも通じる物があった。人を殺すのに、何も感じていない。
 だからこそ、普段通りにいられる。精神が、もう壊れてしまっている為故。
 そして、キリトが口を開いた。

「初めまして、グリムロックさん。オレはキリトっつぅ、まあ ただの部外者だけど。……確かに、あんたがこの場所に居たことと、《ラフィン・コフィン》の襲撃を結びつける材料は今はない。あの連中に訊いても証言してくれるわけないしな」

 確かに、キリトの言うように、実際 今ここでこの男にメニューウインドウを可視化してもらい、フレンドリスト、または送信済みメッセージをチェックすれば、そこには《ラフコフ》の暗殺依頼窓口になっているプレイヤーが存在する筈だ。
 ……が、ラフコフ規模は思いの他多い。そして ここに居る誰もがその窓口相手の名を知らない。だから、その1件ではなく、以前の事件についてを話しだした。

「でも、去年の秋の、ギルド《黄金林檎》解散の原因となった《指輪事件》……これには必ずあんたが関わっている。いや主導している。なぜなら、グリセルダさんを殺したのが誰であれ、指輪は彼女とストレージを共有しているあんたの手元に絶対に残った筈だからだ。あんたはその事実を明らかにせず、指輪を密かに換金して、半額をシュミットに渡した。これは、犯人にしか撮りえない行動だ。ゆえに、あんたが今回の《圏内事件》に関わった動機もただ1つ。……関係者の口を塞ぎ過去の闇を葬ることだ、と言う事になる。違うかい?」

 キリトはそう言い終えると、グリムロックの目を見ていた。キリトの推測は、このエリア第19層に来る前に、全員で熟考した結論だ。状況証拠としては、間違い事だと思える。

 そして、濃い沈黙が荒野の丘に生まれる。月光がグリムロックの顔に痛い陰影を刻み付けると同時に、やがてその口許が歪み、声が流れた。

「なるほど、面白い推理だね、探偵くん。でも、残念ながら1つだけ穴がある」
「なに?」
「………」

 反射的に問い返すキリト、そして 黙って状況を見ていたリュウキ。それを確認したグリムロックは続けた。
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