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俺と乞食とその他諸々の日常
四話:剣士と日常
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「むしろ人の目を潰すのが初めてじゃなかったら怖すぎる。それとこんなことでドキドキされても困る」
「私の初めてじゃダメなのか…?」
「それっぽく言っても事後に残るのは目を失った俺だけだよな」

 可愛らしく上目遣いで言ってみてもその手に握った刀で全てが台無しだ。
 軽くヤンデレ要素が入っていてよい子は見ちゃダメ状態になっているぞ。
 
「それよりもいい加減用事を話せ。俺だって暇じゃないんだ」
「パジャマ姿の人間の言う言葉じゃないと思うんだ」
「確かに」

 仕方ないんで着替えてきました。





「なるほど、ジークを見かけて話しかけようとしたら逃げられたから俺の所に来たと」
「うん。君の家に行けばジークに会えると思ってね」
「なるほど、確かに家はジークホイホイと化しているからな。その考えは間違っていない」

 取りあえずお茶を出してもてなしながら話を再開する。
 ジークのやつめ、俺の家に来ない時ですら俺の眠りを妨げる原因を作るとは何事だ。
 まあ、今日は来てないからミカヤは完全に無駄足だけどな。
 
「それにしても、なんで逃げられたんだ? 『今宵の晴嵐(せいらん)は血に飢えている……(キリッ)』でもやったのか」
「今そこはかとなく馬鹿にされた気がするけど……。その程度でジークが逃げ出すことはないよ。逃げた原因は、大方予想は付いている」
「そうか……まあ、これ以上はジークに直接聞く」

 少し憂いのある顔で自分の腕を見つめるミカヤに空気を読んだ俺は話題をそこで終了させる。
 こういうのは本人以外から聞くのはいけないっていうのは俺でも分かる。


「どうせジークのことだから私の手をぶち砕いたことを気にしているんだろう」
「あれ? 折角、気を使ったのに自分から言うの?」
「別に私は気にしていないからね」

 何でも無い様に片手をひらひらと振りながらお茶請けを食べるミカヤ。
 俺の珍しい気遣いが水の泡になってしまったが気にしていないのならまあ、それでいいんだろう。ジークの方がウジウジして姿を現さないのはある意味でいつも通りだしな。

「それで、本当に会わなくていいのか? 何ならジークを錬成してもいいぞ」
「大丈夫だよ。試合の借りは試合で返すからさ。それに今日は行くところがあるんだ」

 若干闘志を出しながら好戦的な笑みを浮かべるミカヤ。
 ジークも戦闘中はこういった人間を引き寄せる力が働くのに、普段がなぁ……。

「因みに錬成には何が必要なんだい?」
「おにぎりとおでん」
「随分と安上がりだね」

 実際この二つを作った時の出現率は150%だ。
 因みに50%は朝に来て夜にまた来るのが原因だ。





「畜生ォ…持っていかれたァ……ッッ!」



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