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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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少女の剣幕に圧され、思わず名乗ると、意外にも彼女は食い気味だった身体をあっさりと引いて顔の半分をマフラーを下に埋める。

キリト……キリト……と、名前をしっかりと脳裏にインプットするかのように何回か呟いた後、キッと少女はこちらを睨みつけた。

思わず口元を引きつらせる俺を睨み続け、右手を振ってメニュー・ウインドウを出す。短い操作で、その指先に小さなカードが出現した。

それをテーブルの上に滑らせ、俺が受け止めると少女は重い口を開いた。

「こうして話すのは今日が最後になるだろうから、ここで名乗っておくわ。――――それが、いつかあなたを倒す者の名前」

無言で目を落とす。表示された名前は――――【Sinon】。性別は、もちろん(フィメール)

「シノン」

俺が呟くと、少女は水色の髪を揺らして軽く頷いた。さらにそれから、少し考えるように視線を止めてから、どこか諦めたようにがしがしと乱暴に髪を梳くと、それからと言った。

「…………最低限のことだけ説明しておく。ここまで来たんだもの、最後の一つも教えておきたい」

「最後?」

「敗北を告げる弾丸の味」

その言葉に、俺は思わず微笑していた。揶揄や苦笑ではなく、本心からの笑みだ。こういうメンタリティの持ち主は、まったくもって嫌いではない。

「……楽しみだな。しかし、君のほうは大丈夫なのかい?」

少女はフン、と小さく息を吐き出した。

「予選落ちなんかしたら引退する。今度こそ――――」

広いドームに満ちる敵手達を凝視する瞳が、強烈な瑠璃色の光を放った気がした。

強い奴らを、全員殺してやる。

その言葉は、ほとんど実際のボリュームを伴わずに発せられたにもかかわらず、俺の聴覚いっぱいに響き渡り、仮想の鼓膜を暴力的なまでに揺さぶった。

少女の――――シノンの唇が動き、獰猛な獣のような笑みを形作る。

それを静かに眺めながら、俺は背筋を、久しく感じたことのなかった氷のような戦慄が駆け上がるのを感じていた。
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