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101番目の舶ィ語
第ニ話。夜霞のロッソ・パルデモントゥム
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迫っているからな。
だから俺は俺が知り得た情報を出来るだけ一之江に伝える。

「なんか白い手が出てきて、それに襲われたんだ。首を掴まれて、足を床に引きずり込まれた。
それに、床から開放された時にチラッと赤い布みたいなものが見えた。
さっきまでは俺のDフォンが赤く光っていたが、今はなんともない」

「そうですか。私のは熱くなっていますから、今の狙いは私かもしれませんね」

俺の情報を聞いた一之江は周囲を注意深く観察しながらも、少しも気負った様子は見せない。
相手の『ロアの世界』だろうと、一之江が戸惑ったところは一度もない。

「それで敵の都市伝説の正体だが……これじゃないかというものを一つだけ知ってるんだが」

「ほう、奇遇ですね。私もそれだと思うものに覚えがあります。
しかし、モンジも成長してきましたね」

「まあ、そりゃ、毎日のように訓練で叩き込まれているからな」

「ええ、第一に『これがなんの都市伝説なのか』。第二に『それをどう倒すのか』というのを考えなければ、以後も生き残れないので気をつけてくださいね」

「了解だ」

そんなレクチャーをした一之江は、不意に窓の方を見た。
一之江の視線の先。
窓の外は大雨が降っていて、向かいの校舎の姿すら霞んでいるように見える。
だが、その校舎の屋上。
そこに。

「以外と大物でしたね」

「やっぱり……な」

赤いマントを羽織った金髪少女の姿があった。
そんな彼女の背後で雷が光ったというのに、轟音は鳴らない。
そんな雷雨の中______屋上の手すりに座って彼女は真っ直ぐに俺達を見つめていた。

「怪人赤マント。聞いたことくらいあるでしょう?」

「確かにあるな。トイレで、赤か青かを尋ねる奴だったか?」

「それは赤マントの派生物語で、『赤マント、青マント』です。今回はおそらく、その原点である『怪人赤マント』という『都市伝説』のロアでしょう」

原点と派生。
噂に左右されるロアの物語にはそれらがあって。
確か一之江のロア、『月隠れのメリーズドール』は原点である『メリーさん人形』の『都市伝説』が実体化したものだったな。派生としては『リコちゃん人形』というのがあって、そちらは『最期どうなるかは解らない』とか、『終わりをわざと曖昧にして語らない事でより怖くする』とか、キリカが朝のトークで語っていたな。
そうやって身近な形で派生したり、新しい話が生まれたりするというわけだ。

「ロアはオリジナルに近づけば近づくほど強い。そして彼女は、そのオリジナルに近しい存在です。もっとも『赤マントの怪人』は男というのが定番ですが」

「どう考えても女の子だな。さっきの手の子が彼女なら、腕も細かったし」

遠目からでも、金髪をクルクルドリル
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