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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 夜霧のラプソディ  2022/11
12話 生存者達
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レアエルフが怪しいと踏んでル。………例えば、その召喚系スキルを阻害するアイテムとかネ」
「………なるほどな」


 会話が再開し、暗い思考を追いやることとする。
 つまりは、アルゴなりのケジメの取り方なのだろう。モーションもない異常な特殊スキルに対して、何とか突破口を探ろうとしている。その折にレアエルフの情報を耳に挟んだのだろう。確かに、可能性を求めるならば申し分ない。特殊スキルについては実のところ手放しに信じることができないが、嘘を騙るために死ぬなど滅多なことではない。犠牲者が出ている以上は認める他無いわけだ。だが、幸いにもレアエルフは存在しているという信憑性は高い。捜索を続行する価値はあるはずだ。何か解るか――――あわよくば、その召喚スキルに対する対処法が発見されるかも知れない。


「先ずはレアエルフだな。それから考えればいい」
「うん、引き続き力を貸してク、レ………えっと、リンちゃん、アレは………?」
「何だあれ」


 決意も新たに、レアエルフ捜索の指針を改めて掲げた矢先、異変が俺とアルゴの視界を襲った。
 よくよく考えれば、救出したPTの面々も部屋を出ていて、俺達も施錠したベランダに居るわけで、そうなると必然的に取り残される形になるのである。それがひどく気に入らなかったらしく、いかにも不機嫌という表情をしていた。
 端的にいうと、相棒が引き戸に張り付いていた。ガラス張りの引き戸に身体を全力で押し付け、部屋に一人取り残されたことに腹を立てて頬を膨らませながら、必死に横顔を張り付けて聞き耳を立てようとしていた。しかし哀れ、例え薄い引き戸であろうとも、ドアの持つ遮音機能は抜け目なく備えており、《聞き耳》スキルでも取得していない限りは戸や壁の向こう側の音声は全く聴覚情報として得られないのである。正直、見ているこっちが情けなくなってくる。


「うわぉ………、やっぱり大きいナ………」
「何やってんだ、あのバカ」


 白けながら眺めていると、いよいよヒヨリが不機嫌で顔を赤くしながら震え出したので、やむなく室内に戻ることにした。一頻り怒られ、それから十五分間、ヒヨリは一切口を利いてくれようとしなかった。
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