暁 〜小説投稿サイト〜
トップアイドルプロジェクト
第1話 僕のクラスメイト
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[9] 最初
げちゃダメだよ」
僕は立ち去ろうとした前川みくに向かってそう言った。
彼女は何も言わず、再び僕に背中を向け俯く。
「前川さんやっぱりアイドルになりたいんだね」
「・・・なにか悪い?」
「いや・・・その教室ではいつも物静かだから意外だなと思って・・・」
少しの沈黙の後、彼女は再び口を開く。
「どうせみくなんかにアイドルなんかなれっこないとか思ってるんでしょ」
彼女はそう言いながらこっちを睨むように振り返る。

「僕はそうは思わないよ」

僕の言葉に更に目をきつくした
「適当な事言わないで!みく友達も全然いないし、それどころか知らない人と
 話すの怖いし、どこを見てそんなことを言ってるの!!」
「でも今こうやって僕とふつうに話せてるじゃん」
するとはっと彼女は口を開いた。
「・・・さっきの歌声すごく良かった。正直違う世界に引き込まれていく感覚になった」
「うそ。みくにそんな才能なんてない・・・」
「そんなことないよ!」
僕は思わず彼女の両肩を掴み訴えかけていた。
そうそんなことない。僕が感じたあの感覚は間違いじゃない。
「前川さん!自分に自信を持って!前川さんなら必ずトップアイドルになれるよ!!」
「お世辞はいらないよ。私なんかがアイドルなんかに」
「じゃあ前川さんはなんでこうやって、こんな時間にこんな事していたの。
 アイドルになりたいと思ってるからじゃないの」
「・・・なりたいよ。なりたい!アイドルに!!でも・・・でも・・・みくは・・・」
涙をためながらそれを言う彼女は、理想と現実とのギャップに悩んでいるようにも見えた。

その瞬間、僕は決意を決めた。
「前川さん!僕に君をプロデュースさせてほしい!!」
「・・・え?」
彼女は意表をつかれ、ぽかんと間の抜けた表情を見せる。
「僕が前川さんを一流のアイドルにさせてみせるから!!」

こうして前川みくトップアイドルプロジェクト(仮)が始動した。

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