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ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第2章 ヘンシェル星系攻防戦 中編 殺戮の嵐
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のまま戦闘指揮所に向かった。生き残るという意志のために。
戦闘指揮所ではリリーと一緒になった。
リリーは
「あらあら、まったく相変わらず童顔ね。
ほんとかわいいし、なごむわ」
完璧に弟扱いかそれ以下である。
「はいはいそうですね。
リリー1等兵もご機嫌うるわしゅうございますね。」
するとリリーは
「まったくここで階級を持ち出さなきゃかわいげがあるっていうものなのに。この兵長さんは」
と含み笑いと怒ったフェイクを組み合わせた顔をしてこっちを見ていた。
そして、レナ准尉が
「貴官らいいかしら?
姉弟君たち? 本題に入るわ
貴官らは本日付を持って戦場昇進することになった。
エーリッヒ・フォン・シュナイダー兵長!
貴官を同盟軍最年少の伍長に任ずる。」
と言って、レナ准尉は私に伍長の階級章を渡した。
あまりにも衝撃的過ぎて、私はリリーの任命を聞いていなかった。
16歳で下士官というのはスパルタニアンのパイロットたちは16歳で現役か予備役伍長または軍曹の階級からスタートするが、宇宙艦隊や地上部隊での16歳兵士は訓練中の2等兵か私が兵士になった年から行われるようになった「短期志願兵養成訓練課程」を卒業すれば16歳には1等兵ないし上等兵になっているものであるが16歳で伍長、つまり下士官昇進は当時ではありえなかったことであった。
しかし、伍長への昇進は戦場昇進なのでおそらく平時になれば戻ると思っていたが、おやじから
「レナ准尉とケン大尉がお前を推薦して伍長にしたはずだ。」
つまり、2人以上の士官または准士官の推薦による戦場昇進は通常昇進と同様である。というのが同盟軍の決まりであったから私の昇進は完全決定事項になってしまった。
しかし、ゲームのように昇格したからと言って特殊技能が得られるわけでもない。
また今日から激戦の1日が始まる。
連隊のもはや5割は戦死または負傷。弾薬、医薬品はほぼ底が見えている。食糧に関しても1日1.5食で済まさなくてはいけいない。こんなので、今日は生き残れるだろうか?
いや、生き残らなくてはいけない。家族のためにも、ケイン中将やロイ予備役大尉のためにも、そしてニコールのためにも。彼女の悲しむ顔をできる限り見たくない。というよりは絶対に見たくない。
こう決心してからまだずるずると戦闘は続いた。そして、8月に入って我々に凶報と吉報どっちもがもたらされた。それが
「同盟軍第2・8艦隊救援のためにヘンシェル星系区に到達す」
と、敵の捕虜からもたらされたもので
「8月4日 帝国軍、総攻撃を敢行す」
であった。
宇宙歴789年 8月3日のことである。
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