暁 〜小説投稿サイト〜
日向の兎
2部
村人
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くらいの紙で、その内容は宣伝用の物のようだがそれはさして重要ではなかった。彼女はそれを全員に見せると、突然クシャクシャに丸めてその手で握りしめた。すると、彼女の手の中からミシミシと異常な音が聞こえてきた。とてもじゃないが、あの音は紙から発せられるような音ではない。
そして、彼女は再び手を開けてから立ち上がり、飴玉くらいのサイズにまで丸まった紙を村長に渡してこう言った。
「それ、開けますか?」
彼女は少し意地の悪そうな笑みを浮かべると、再び座り直し書類の作成に取り掛かり始めた。その間、村長や村の面々は紙を開こうとしたが、僅かばかりも開くことは出来なかった。
全員が挑戦し終えた頃になって彼女はペンを置き、にっこりと笑みを浮かべて先程と同じ言葉を繰り返した。
「なにかご不満が?」
村長達は渋々といった表情で彼女から差し出された契約書にサインしながら、観念したようにこう言った。
「……あんた方に依頼しよう」
自分達の娘、もしくは孫のような年齢の小娘に頭を下げねばならんのだ、ああいう表情になるのは分からなくはない。
とはいえ、単純な腕力の証明でしかないが、彼女の力は俺たちよりも上だという事が分かった。そして、彼女の態度から察するに、まだまだ力を隠し持っているのだろう。
「ありがとうございます、それでは依頼の完了を確認後、支店出店の許可と支払いをお願いしますね?」

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