暁 〜小説投稿サイト〜
ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第1章 第12同盟軍基礎訓練所:中半 鬼白兵戦軍曹 ルイ・マシュンゴ
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「シュナイダー2等兵!
フェイントを使いすぎです!
あなたの白兵戦は上手ですが、自身のフェイントに頼りすぎです。
そうするとこのようにすきができますよ!」
訓練用トマホークが左胴に直撃した。
「ピーッ!
胴体切断。大量出血により戦死」
機械的な声がヘッドセットから聞こえてきた。
私の目の前に立っているトマホークを肩にかけた男は「白兵戦の鬼」「優しい顔をした白兵戦の鬼」などなど訓練生からのあだ名は幾多にも及ぶが必ず最後には「白兵戦」とか「鬼」とかがついている。
顔はなかなかの男前で、性格も「いつもは」優しいうえに階級が下でも敬語を使う人であるが、白兵戦教練の時だけ相手に対する敬語は変わらないが一言一言のアドバイスが適格なうえ、手厳しい。その上、訓練生の骨の髄までクタクタにさせるまで返さないという徹底ぶりだ。
そして、このマシュンゴ軍曹は22歳にして戦闘経験実に50回以上という「鬼」を超越した「死神」である。
装甲ヘルメットの奥からこの声を発しているとは思えないような優しい顔が見える。
マシュンゴ軍曹は私を差別による攻撃のメインターゲットにしていたケイン中隊教練軍曹とは違い、理不尽に訓練生を殴り飛ばすことを嫌い訓練生を自分の弟のようにかわいがっていた。
自主トレの白兵戦訓練が終わると、我々は訓練所内にあるバーにのみに行く。
これはいつかの訓練後のことだが、あるとき私はマシュンゴ軍曹にきいたことがある。
「どうしてマシュンゴ教官は我々にここまでして白兵戦を手厳しく教えてくださるのですか?」と
これは後々、私が指揮官としての道を歩むうえでとても重要な話であった。
「そうですね。 私の初陣の時の話をしましょう。
当時私はあなたたちと同じく訓練を終えて1等兵として今は帝国領ですが、アルレスハイム宙域の第21方面軍の第22空挺装甲白兵戦師団に所属していました。
多分この部隊はとても有名だと思います。第2次アルレスハイム攻防戦でたった199人の第29空挺装甲白兵戦中隊戦闘団を残して全滅したのですから。私たちの中隊長であった第29空挺装甲白兵戦中隊戦闘団エベール・クラウト中尉は今の私より2歳年上の24歳の若き英雄でした。
人当たりがいい人で自分たちより年上の先任下士官たちと意気投合して毎日のごとく白兵戦の猛訓練を行っていました。
何人もの兵士がもう無理だと思うような訓練の辛さの中でも中尉は必ず彼らを引っ張り上げ
「ここで貴官らが倒れたらだれがこの星系を守るんだ?
わが師団を見てみろ! わが中隊以外のだらけざまを!
君たちはここで訓練をしている以上死なないし、絶対に私が殺させない。
私は君たちが生き残るため、この中隊の全員が生きて祖国の土を踏み、愛する者のところへ生きて帰るためにこの灼熱の太陽の中、泥の中、雨の中で訓練をしている
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ