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豹頭王異伝
曙光
闇の司祭
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が蒼褪めておるわ。
 何が親切だ、恩着せがましい口を利きおって!
 魔道に疎い病人を騙し、陥穽に引き摺り込んだだけの事ではないか!!
 スナフキンの剣よ、お前の力が必要だ!
 叩き斬ってやる、覚悟せい!!」

 グインの右腕から青白い光が噴き出し、魔物を斬る霊剣に変化。
 豹頭の戦士が踏み出すと同時に、巨大な髑髏が消失。
 一瞬前まで生首が占めていた宙空に、見覚えのある映像が現れた。
 大人10人は横になれそうな寝台に、子供の様な身体が横たわっている。
 栄養失調とも思える、小さな顔。
 痩せこけた頬、痛々しい印象を与える鋭く尖った顎。

「シルヴィア!」
 豹頭王の口から痛切な呻き声、鋭い絶叫が漏れた。
 映像の中に声が届いた様子は無く、何の変化も無い。
 思いがけぬ光景を見せられ、殺気と怒気が削がれた。
 スナフキンの剣が妖しく揺らめき、光が弱まる。
 映像が消え失り、髑髏が図々しく顔を出した。

「何の真似だ、グラチウス!
 今の映像は現実か、それとも俺を動揺させる為に仕組んだ詐術か!?
 返答次第では、今度こそ問答無用で叩き斬るぞ!
 最後のチャンスだ、これ以上俺を怒らせるな!!」

「ちと、頭を冷やして貰おうと思ったに過ぎぬ。
 これでは話も出来ぬ、物騒な得物を引っ込めてくれんか?
 わしも齢800有余年を数える故、その剣で斬られれば只では済まぬ。
 激情に任せ儂を斬り捨てる等、王に似合わぬ短慮だと思うぞ」
 ニンマリと微笑み、グインの表情を観察する髑髏首。
 飄々とした声が、空間に反響する。

「おけ、グラチウス。
 スナフキンの剣よ、今は必要でない故、引っ込んでおるが良い。
 こやつが無駄口を止めぬとあれば、また呼び出して今度こそ叩っ斬ってやるからな。
 どうせ数タル後には解き放つ事になるだろうが、少しの間だけ、辛抱していてくれ」

「これこれこれ、随分、随分、随分じゃな!
 何と言う言い草じゃ、失礼な!!
 そんな筈が、あるかい!
 不公平じゃ、やり直しを要求する!!」

「この剽軽者め、いい加減にしろ!
 面倒な奴だ、一向に話が進まぬではないか!!
 先刻の映像は本物か、さっさと答えろ!
 それとも魔の胞子、異次元の妖魔に頭を浸蝕され喋れなくなったのか?」

「ひどい、失敬にも程がある!
 わしゃ世界三大魔道師、現世で最強を誇る闇の司祭グラチウス様だぞ!!
 アグリッパは結界に引き籠もり、ロカンドラスは敵前逃亡した臆病者に過ぎぬ。
 宇宙生成の謎を解き明かす野望の第一人者、地上最大の魔道師は儂なのだぞ!」

「どうだかな、いや、どうでも良いが。
 今の映像が真ならば、ナリス殿の派遣した魔道師が見えぬのは何故だ?
 閉じた空間の術にて黒
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