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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第十五話 蠢動
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に告げた。問題無く受け入れられた、既に連絡済みの事を改めて最高責任者から伝えただけだから当然ではある。その他に反乱軍の動静を確認したがイゼルローン回廊内では特に動きは無いらしい。動いているのか、動いていないのか……。後は索敵行動を行いつつ会戦の機を窺う事になるだろう……。



夜、私の部屋でクレメンツ、シュトライト准将とワインを飲んだ。出撃すればアルコールは控えなければならない。楽しめるのは今日を含めてあと五日だ。その後はどうなるか……。場合によっては二度と飲めないという事もあるだろう。そう思えば飲める機会を無駄にすべきではない。

「反乱軍の動きは分からんか……、ちょっと気になるな。こちらの動きに気付いていないとも思えんが……」
「イゼルローンだけではありません、オーディンも反乱軍の動きを掴めずにいます」

クレメンツ、シュトライト准将がワインを口に運びながら話している。表情は決して明るくない。オーディンからイゼルローン要塞への航海の間、何度か反乱軍の動向をオーディンに問い合わせたが、反乱軍の動向は不明という回答しか帰ってこなかった。

「閣下は反乱軍が迎撃に出てくる、あるいは既に出ていると考えているよ」
「ほう」
「その兵力は五万隻前後と見ているようだな」
「五万隻か、こちらの倍以上だな……。しかしそれだけの兵力が動けば何らかの情報が有っても良い筈だが……、本当に動いているのか? こちらの動きを知らないとも思えんが」
クレメンツが首を傾げた。

「フェザーンが故意に情報を遮断している、閣下はそう考えているようです」
「故意にか」
シュトライト准将の言葉にクレメンツが驚いている。確認するかのようにこちらを見るので黙って頷いた。クレメンツも納得したように頷く。

「ここ最近帝国が優勢に戦いを進めている。フェザーンとしては帝国、反乱軍の均衡を図りたい。この辺で帝国に負けて貰いたいと考えているのだ」
私の言葉にクレメンツが“有り得る話だな”と吐くとグラスを一息に呷った。そして空になったグラスにワインを注ぐ。トクトクという音が部屋に響いた。

「全てはフェザーンの掌の上か、面白くない」
クレメンツが呟くとシュトライト准将が頷いた。
「こちらとしても面白くありません。閣下の政治的立場を強化するには勝利が必要なのですから」

その言葉に皆が頷いた。内乱を防ぐためにブラウンシュバイク公爵家、リッテンハイム侯爵家、軍、政府が協力体制を結んだ。今のところ協力体制は上手く機能している。しかし完全ではない、完全にするためにはこの戦いで誰もが認める勝利が必要だ。

「閣下はどうお考えなのかな? このままでは勝算はかなり低いが」
クレメンツが窺う様な口調で私とシュトライト准将を見た。
「無理はしないそうだ。出撃はする
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