夢と現実
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目が覚めると、そこは布団の上だった。
あれ、俺さっきまで何してたんだっけ・・・・?
えっと・・・・昨日は普通に、春休みだから、春人たちと一緒に遊んで、いつもどおり帰ってきて、いつもどおり寝たんだよ
そうだよ、そんな単純なこと、なんで思い出せなかったんだ?
それよりも、夢の中での出来事が、頭によく残っている。どうしてだろう
不思議な遊園地で、俺とそっくりな王様を倒して、囚われた子供たちを解放する夢だったな
ヒーローみたいな夢を見たな。俺もヒーローに、なれたのだろうか・・・・?
そうだ、空音。空音を小学校に送らなければ。せっかくの春休み、小学校に一緒に行くのもいいかも知れない
「空音、空音!もう、学校に行く時間だぞ!準備できてるか?」
俺はキッチンで朝食を並べながら、部屋にいる空音を呼んだ。その時ふと、棚の上の写真に目がいった
お父さん、お母さん、俺、空音の家族写真だ。何気ない、ただの写真なのに・・・・
なんだろう、普通の写真のはずなのに、何か違和感を感じる
その時、夢の中での映像が、突然、頭の中に流れた
お城の頂上から飛び降りる、俺そっくりの王様・・・・その王様は、死んだんだっけ
待ってよ、そっくりな顔の王様が・・・・死んだ?
その時。俺は夢の中で会ったことすべてが、色鮮やかに蘇った
「なんだよ、敏晴。俺たちの記憶も消して、本当にいないものになろうとしてるのか?」
なんで今まで忘れてたんだろう。大切な、兄弟の死を。俺は思わず涙がこぼれた
朝食を食べ始めたとき、俺は空音に聞いた
「なぁ、空音、昨日はどんな夢を見た?」
「どうしたの急に。そうだね、遊園地で遊んで、それで・・・・確か・・・・王様みたいな人と、お兄ちゃんが戦う夢だったよ」
「びっくり、俺も同じ夢見たんだ。それでさ、ちょっと思い出してみたいんだけど、その王様、俺と顔、似てなかったっけ。それに、なんだか、違和感感じない?あの家族写真を見て。不自然に、俺と母さんの間が空いてるよな。なんだか俺、この家に、もうひとりいたんじゃないかなって。その人の名前は、確か・・・・」
「敏晴お兄ちゃん・・・・いやだ、私、なんで忘れてたんだろう。あの遊園地でのことは、夢じゃなかった、こうやってひとり、お兄ちゃんが消えてるのに!」
空音も、全部思い出して、涙を流した。そうだよ、俺たち、忘れちゃいけないことまで、忘れちゃってるじゃないか
俺も、涙が出た。それから少しの間、俺たちは泣き続けていた。あの遊園地であったことを、ひとつひとつ思い出して・・・・
それから、俺は空音を学校に送り届けた。その後、携帯電話を取り出した
着信履歴には「日下部春人」の文字がある
そうだ、遊園地での記憶や、遊園地に行く前の、昨日までの記憶もある。この昨日の記憶は、春人たちがいなかった世界の記憶
そし
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