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リリなのinボクらの太陽サーガ
蟷螂
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『うんうん! 取り戻した親子の時間を絶賛穴埋めするだけなんだから、何もおかしい事なんてないよ!』

『クロノ……私達の大切なひと時なんだから、変な事を言わないでよね』

『見た目や経歴とは裏腹に、クロノって実は可哀想な子だったりするんだね』

『そ、そんな……僕が……僕がおかしいのか? さ、サバタ、君はどう思う!?』

「どう思うって……俺に訊くな。だが親が子供の写真を撮るのは普通の事なのだろう? ならこの場合はクロノがおかしいんじゃないか?」

『や、やっぱり……僕が間違っていたのか……って違う!? 僕が言いたかったのはそっちじゃなくて、ダンボールを被る行為について……! でもなくて……ええっと、あれ?』

「思い出せないなら、この話題は終了だな。リーゼ姉妹を待たせているんだから、さっさと先に進みたい」

『あ、ああ……うん、足を止めさせてすまなかった。……しかし、変な風にやり込められた気が……』

内容が変な通信だったため、キリの良い所で切断した。クロノは最後まで困惑していたが、彼はきっとこの先何度もからかわれる運命が待っているのだろう。お気の毒と言っておくか。

「………」

「おまえは何かを狙ってるのか?」

さっきからダンボールの蓋を上にして少女が中に入り込み、まるで捨て猫のような格好でこちらを見つめていた。今の使用用途だと蓋の位置が上下逆だが、普通はこの向きが正しいんだよな……。というかこの子、若干茶目っ気というか天然の素質があるな。いや、何も知らないまま育ったから、こういう当たり前の道具も珍しく見えるのだろう。

「これからバレないようにダンボールを被るが、ピッタリ動きを合わせてエレベーターの所に行くぞ。いいな?」

「……(コクリ)」

そういう訳で正直自分でも何やってるんだ、という気分ではあるが、ダンボールを被って俺達はホールに突入。武装社員の目がこちらに向いていない隙を突いては移動し、こちらに視線が向けば停止、離れれば移動を繰り返してゆっくりと着実に進んでいく。それにしてもさっきから何で疑問に思わないんだって、こいつらにとにかくツッコミを入れたくなる。バレるからしないけど……モヤモヤする。

そうやって何とかうまくエレベーターへたどり着き、スイッチを押して乗り込む。割と早く着いたエレベーターには誰も乗っておらず、さっさと入り込んで地下2階へスイッチを押した。

「はぁ……まさかこの俺がダンボールを被る羽目になるとは……」

『タノシカッタ』

「ああ、そうかよ。そりゃ良かったな……」

なんか気に入ったのか、エレベーターが着いても少女はダンボールを被ったままだった。確かにダンボールに隠れていてくれたら、戦いに巻き込まれても安全かもしれない。そういう意味では良い拾
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