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リリなのinボクらの太陽サーガ
蟷螂
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のはかなり難しかった。ちなみにこの地下ホールだが、地上1階のエントランスの役割も兼ねており、地形的には高級ホテルにありがちな凹面形状となっている。この形のおかげで外の冷気が上手く遮断されており、格納施設より空間が温かい。これは極寒の地で働く人間の知恵が組み合わさった、合理的な建築だと思う。

ま、そのせいで上下からの監視の目も注意しなければならない羽目になった。今、俺達は社員用通路を抜けてホールに入ると、すぐ近くにあった物置に身を隠している。そこからホールの様子を伺っているのだが……エレベーターは中央の大きな階段を上った地上1階の方に設置されていて、そこまで行くにはどうしてもホールの中央を突っ切る必要があった。そんな所を進んだら普通に見つかるだろう……故にエレベーターの所にたどり着くにはどうすればいいのか考えているのだ。

「……(くいくい)」

「? どうした?」

一緒に隠れている少女が俺の服を引っ張り、倉庫の中にある物を指差した。それは板紙に波形の段をつけた中芯を張り合わせたもので、主にクラフト紙や古紙を原料とし、リサイクルも可能なので経済性も高く、丈夫で格納性も高いので荷物の梱包に広く使われている、どこかの蛇が好んでそうな“例のアレ”が畳んで置いてあった……。

「…………」

被らないの? と純粋に言いたげな少女の目を前に俺は…………俺は……観念してしまった。立ち上がった俺はソレ…………“ダンボール”を手に取り、箱の形に開いてみた。

「意外に大きめだな。これなら2人で入っても大丈夫そうだ」

周波数140.85からCALL。

『通称、ラブダンボールですわね♪』

『ら、ラブダンボール……』

『いいなぁ……私も入ってみたいかも』

『いやいや二人とも、ダンボールは普通被るものじゃないんだが!?』

『あらクロノ、私の愛する娘達のお願いをそんな無粋に切り捨てなくともいいじゃない。フェイト、アリシア、裁判が終わったらダンボールをすぐに用意してあげるから、それに好きなだけ入ると良いわ! そして私はその光景を撮影して堪能するわ!!』

『わーい! ママありがと〜! 今から楽しみだよ〜!』

『どんな感じなんだろう、ダンボールに入るのって。面白いのかな?』

『そういやダンボールって保温性が高いらしいから、動物形態なら居心地良さそうだね』

『いやいやいや!? さっきプレシアさんの台詞に聞き捨てならない単語があったんだけど!? というか皆、それ放置なのか!?』

『クロノ君、別に自分の子供を撮影するぐらい親として当たり前の愛情表現じゃないですか。そんな事も知らないで執務官をやっているのですか? 常識を疑います』

『全くね、親の顔が見てみたい……あ、とっくに何度も見てたわ』


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