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ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
エピローグ:神話と勇者と聖剣と
神話と勇者と聖剣と
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「……」

 鏡に映った自分の顔を見て、栗原清文はほんの少しだけ息をつめた。普段は寝癖を直す程度にしか構っていない髪が、今日ばかりは普段の面影を残しつつもきちんと整えられているという事実に、心なしか緊張が増したのだ。

「似合っているぞ、清文」

 珍しくウサ耳フードをかぶっていない、スーツ姿の黒覇が、微笑をうかべながらこちらを見る。

「ああ、ありがとう、黒兄」
「やはり腕のいい職人に頼んだのが正解だったな。服の方も似合っているぞ」

 こちらもスーツ姿の千場が、今度は服の方を褒め称える。今己が身に纏っているのは、真っ白なスーツ。これを『本番』で着るのは、人生通して二度目。リアルで着るのは、これが初めてとなる。
 
 対となるドレスと併せて、晴れ舞台の主役であることを示す洋服。俗に言う『タキシード』である。

「黒覇さんももうすぐ着ることになるかもしれませんね」
「馬鹿を言うな。姉貴を娶れるわけないだろうが。それを言うならお前だハクガ」
「おや、その言葉そっくりそのまま返してあげます。もっとも、僕の場合姉では無く妹ですがね」
 
 黒覇と言いあう青色の髪の青年はハクガだ。彼も今日は大学の式典などで着ているスーツである。

「しっかしなー、俺はその服着てるセモン見ると違和感しか湧かないんだけどな」
「失礼だぞ。まぁ……なんとなく、分からなくはないかもしれない」

 そんな失礼なことをぶっ放したのは、カズと良太郎。カズは制服、リーリュウはスーツだ。

「それを言うならカズの方が違和感あるぞ」

 正直な話、カズの制服姿はあまり似合わない。清文は自分がこういう神聖な服装が似合わない性格であることは自覚しているが、そんな清文を超えるやかましい性格であるカズは、儀礼服系の服装が余計に似合わないのだ。

「失礼だな!」
「同じことを言ったんだよお前は! 今日の主役に!」
「お前もだろうが!!」

 しかめっ面で反論するカズと、突込みを入れるリーリュウをしり目に、セモンは小さく呟く。

「そうなんだよな……」
「ああ、そうだよ」

 割って入ってきたのは斬彦だ。長身をスーツに包み込んだ姿は、どこぞのバーのホステスか、言い方は悪いがマフィアの様にも見える。サングラスかけたら完璧だと思う。

「お前が、今日の主役だ。ああそうだとも。ここは式場で、ここでやることはもうずっと前から決めてたんだろ、お前」
「ああ――――そうだよ。俺、結婚するんだ」

 ずっと――――ずっと、遠いところでの出来事であるかのように思っていた。

 これから先、自分は愛する人と、一生共に過ごすという誓いを交わすのだ。そうして、姉以外にはいなかった家族が、ひとり、増えるのだ。

 まるで夢のように思う。こんな
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