四十九話:俺の幼馴染みがこんなに可愛いわけがない
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よ」
そう言って答えるがイリナは頬をプクッと膨らませて不満そうな顔をする。まさか、俺が本心では美味いと言った事を気づいたのか? そんなことを考えているとイリナがおもむろに自分の箸でから揚げを一つ掴み俺の口に近づけて来る。これは、まさか……。
「はい、あーん♪」
「じ、自分で食える」
「あーん♪」
「おい、またか、またこのパターンか?」
「あーん♪」
「わかった……食べればいいんだな」
結局、謎の圧力に観念して俺はイリナからあーんされたから揚げを食べる。
「どう、おいしい?」
「……ああ、美味い」
「そっかあ……ありがとうね、ダーリン」
満面の笑みを浮かべてお礼を言い、俺の頬にキスをしてくるイリナ。何か言ってやろうとも思ったがその顔が余りにも嬉しそうだったので毒気が抜かれて結局何も言わずにそのまま弁当を食べ続けた。偶にまた、あーんされたり、おねだりされて顔を赤くしながらあーんしてやったがまあ―――
「悪くはねえな……」
「なにか言った?」
「いいや、何でもねえよ」
俺はイリナに微笑みかけて弁当を喰い終わる。イリナは俺が微笑んだことに余程驚いたのか顔を真っ赤にして固まったように俺を見ている。そんな様子に俺も恥ずかしくなったので適当に声を掛ける。
「まだ回るんだろうが……付き合ってやるからさっさと行くぞ」
「うん!」
そうして俺達は立ち上がり、二人そろって足を踏み出す。
『迷子のお知らせをします。ヴァーリさんの保護者の方、いらっしゃいましたら迷子センターまでお越しください』
「…………取りあえず、迷子センターから行くか」
「……そうね、流石に小動物は放っておけないわ」
そうして俺達はヴァーリを迎えに迷子センターに歩き出すのだった。因みに俺達が行くと俺の家の人間が全員来ていた。そしてそんな様子を遠くからアザゼルが見て泣いていたがどうでもいいことだな。
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