暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜Hero of the sorrow〜
アシムレイトロイド編 愛、覚えていますか 番外
暁の夜、白い過去
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泣いてるの?なに?なんか辛いことでもあった?」

 逆だ。嬉しいから泣いている。もう涙が止まらなかった。良かった、これで繰り返さずに済む、傷つけずに済む。だけど。それは外からの声で一気に外へと追い出された。

「香さん!!まずい、逃げ・・・・・・」

 後頭部に衝撃。振り向けば人、人、人。中には笑う者、泣いている者、怒りに満ちた顔の者。一斉に武器を振りかざして痛みを全身に浴びせられる。

「死ね!!化け物!!」

 ガンッッという衝突音に似た何かの音と共に家のドアが蹴破られた。さらに外に溜まっていた人々がなだれ込んでくる。その間にも痛みは続く。男の一人が香さんに触れた。変身などしなかった。人を守る力だというのが彼女の心情だった。

 男たちが周囲に集まり、香さんの服をひん剥いた。全員、殺そうと思った。けれど、力が出ない。髪を掴まれて顔を無理やり上げさせられる。目を向けられなかった。今まで彼女が守ってきた意味はなんだったのか。男たちの玩具にされても香さんは何も言わなかった。

 不意に考えがよぎった。もしここが、過去の世界だとしたら?使わなくなったあの力が使えるのではないか?あの名前と共に捨てたあの能力が。全力で叫んだ。

「spirits!!」

 久しく感じた体に籠もる熱。腕の筋肉を増大させて周囲をなぐ。雑草を根から引き抜くかのような音が響き、周囲の人々の体がただの肉塊に成り下がる。香さんは、こちらを見て泣いていた。ギロリと視線を他の人間共に向けた。

 一斉に人々が逃げ始める。それを見計らって香さんを抱き上げ、家から出る。とにかく走った。見つからぬように。全速力で。
暖かさが失われていく。彼女の体が冷たくなっていく。

やめて ザザザザ、ザ
         ザザザザ、ザやめザザてザッ


                       ザザザザザ連れてザザザザザザザザッ

ザザザザイカナイデザザザザザザザッ!!!

ノイズが走った。

 偽物の世界での物語を傍観する者がいた。名をブックメイカー。物語創り。そして、それを笑いながら見るものたちが数人。

「ブックメイカー、この物語は相変わらず素晴らしいな」

「あの必死で犯された女を助けるところとかすごい笑えるよな。女は所詮、初めてじゃなきゃ楽しくもないただの玩具なのに」

 そう思っているのは貴様らだけだクズどもめ。彼はそう思いながら本を開いた。中に書いてあるのはsrrowの運命。これから後、哀しみは243回これを繰り返す。神様に逆らった不穏分子として、最期は楽しませてもらおうとこんなクソったれなストーリを彼は創らされた。

 できれば救ってやりたいと思う。けれど、ブックメイカーの命は神に握られている。だから、救ってやれない
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