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Round《6》〜ストロンゲスト・カタストロフ〜
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る。透過が解除される。翼が、消える。

 最後にどちゃり、と投げ捨てられたとき――――リンは、己の手で愛剣を構えることすらできなかった。それどころか――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「これ、は……!?」

 遭遇したことのない事態に、困惑を隠せないリン。

 対するジンは、恍惚とした表情で空を仰いでいた。

「素晴らしい……なんて強力なスキルなんだ。それにこのパラメーターも。レベルも!!」
「どういう、ことだッ!」

 怒鳴るリン。否。もう分かっているのだ。この男が、何を引き起こしたのか。

「素晴らしいスキルをくれたお礼に――――冥土の土産として教えてやるよ。 
 俺はな――――相手の情報を奪い取る力を持ってるんだ」

 やはり、そうか。

 つまりこの状況は――――リンのレベルも。ステータスも。スキルも。全て、あの男に奪われたという事なのだ。恐らく、《月の剣士》ジンも同じ状態なのだろう。

「返せ……ッ、俺の、《英雄剣》ッ……!」
「はぁ? 《英雄剣》だぁ? はっ、お前ごときが扱うのには過ぎた名前だな」

 己の力を馬鹿にされたふんげきで、リンの視界が染まり始める。心意が高ぶり、リンの体が動き始める。

 だが、そんな展開も、すぐに叩き潰される。

「おい」

 ジンがどこかに語りかけると同時に――――ズン、という音と共に、リンの体が止まった。奇怪な重力が、アバターを縫い付けているのだ。

 そして何処からか聞こえてくる声。何処か眠そうな、幼い少女の声。

『この程度で、止まる……英雄の称号にはふさわしくない……やはりその剣は、ジンのためにあるべき』
「おいおい、言いすぎだろうが『カーディナル』。過ぎた名前でも、こいつは元の保有者だぜ。ちゃんと与えられる意味はあったんだろうよ……まぁ、俺の前では無意味だがな」

 ぎゃはははははは、と高笑いするジン。彼が口にしたのは、SAOを統括するシステムの名。

 だが――――リンの知っているカーディナルは、こんな声ではなかったはずだ! そもそも、何故一人のプレイヤーに味方をしている!?

 ともかく、この状況を抜け出さなくてはならない。心意は使える。ならば、《心雄剣》が使える可能性が高い。あれさえあれば、あんな奴なんてすぐに倒せる――――

 そして、スキルを探そうとして。

 リンは、心意のよりどころ自体が存在していないという事実に、驚愕した。

「ああ、言い忘れてた。俺の能力は、ただ奪うだけじゃなくてそれを俺が習得した、って歴史を変えて扱えるんだよ
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