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妖精の義兄妹の絆
緋色の空に消えた幻
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ジェラールはどこか安心した顔でそれを聞いていた。
「エルザ!!!!」
ナツはエルザに叫ぶ。ナツにだってわかる。この中で一番つらいのはエルザなのだと。
「そうだ…。」
「!」










「おまえの髪の色だった。」
そう言ってジェラールはエルザに微笑んだ。
「さよなら、エルザ。」

ズシィン

そして、ジェラールは護送車の中へ消えていった。
「ああ。」
























そして、評議院もすぐに撤退していった。
タクヤたちも流石に限界がきたのだろう。ここで少し休む事にした。
「エルザ…どこ行ったんだろ…。」
「しばらく一人にしてあげよ…。」
「あい…。」
そして、みんな一言も喋らなくなった。




















空が赤紫色に染まってきている。もうすぐに夜明けだろう。
エルザは一人古代遺跡があったのだろう丘に佇んでいた。

















『ジェラール・フェルナンデス。』

『うわー、覚えづれぇ。』
一人の少年がジェラールに言った。

『そういうおまえもウォーリー・ブキャナンって忘れそうだよ。』

『エルザ、おまえは?』
ウォーリーと名乗った少年は近くにいたエルザという少女に声をかけた。

『私はエルザ。ただのエルザだよ。』

『それはさみしいな。』

さらっ

『おぉ。』
ジェラールはエルザの髪の毛を触る。さらさらとした綺麗な髪だ。

『ちょ、何よぉ。』
エルザも恥ずかしくなったのか無理矢理ジェラールの手を振り払った。

『キレイな緋色“スカーレット"…。そうだ!






エルザ・スカーレットって名前にしよう。』

『名前にしようっておまえ…そんなの勝手に…。』

『エルザ…スカーレット……。』
エルザもまんざらではない顔で自分の髪を撫でる。

『おまえの髪の色だ。これなら絶対に忘れない。』














_おまえの髪の色だった。




別れる直前にジェラールが放った言葉。昔、奴隷として生きていた時ジェラールがつけてくれた名前。
あの時のジェラールは太陽のようにどこでも平等に照らしていた。
ジェラールがいたから私がいる。ジェラールのおかげで強い心を持ち続けられてきた。
だが、そんなジェラールはもういない。暗い、日も当たらない牢獄に閉じ込めれた。
次第に空から朝日が降り注いできた。暖かく、それでいて心地よい陽光。
「ジェラール…。」
その日の朝焼けは今までに見た事のない
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