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乱世の確率事象改変
縋るモノに麗しさは無く
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 求めた者では無かろうと、彼の者は私が求めた黒き大徳と相違無い。

 演じてみせろ、あの男を。

 矛盾の理を説いて徳を為す異質な存在を。

 そうすればお前を認めてやらぬ事は無い。

 愛しい敵対者では無くとも

 お前だけは……私の隣に並ぶ事を許してもいい。



 少しだけ、雛里の事が羨ましいと思った。

 切り捨てたはずの弱さは、あの子とお前を見る度に、胸を苛む羨望の痛みを齎してしまう。

 きっと、雛里は幸せになれるでしょう。

 戻った時にお前自身が消えてしまうとしても……。

 救われないお前個人の幸せを切り捨てたし、

 こうなってくれる事を私も願っていた。

 それでもお前は幸せだと言う。

 私みたいに、お前の胸は痛んだりしたのかしら?

 個人の幸せを捨てても他者の幸福を願うお前は……私と同じように……



 断じて面白くないけれど、お前との時間は悪くない。

 それならお前も、私の元で幸せになるべき。

 だから……そんな顔をするんじゃないわよ、徐公明。

 まだそんな、心の底から幸せそうな顔は、するな。

 私はね……手に入れたモノを手放す気など無いの。



 今はいい。覇王と黒麒麟のマガイモノが作る舞台を始めよう。

 同じ世界を思い描く、既存世界に抗う反逆者二人の舞台を始めよう。




 †




 現代の歴史上から見ても、公開処刑は古くから行われてきた。
 例として挙げられるモノには魔女狩りなどがあるが、民衆に悪の行いだと晒して風評を操作するには大きな意味を持つ方法であろう。
 そも、尊重されるべきと認識されている皇帝に弓を引いたモノを、大陸の平和を乱した悪逆の徒を、内密に処理して“はいそうですか”と終わらせるのは余りに拙い。
 晒し頸にして街頭に置いておいたり、遺体を幾日も街に曝け出させたりと多種多様なやり方で罪を見せつける事も大切な政治的手段の一つであった。
 当主たる麗羽個人の問題だけには収まるはずも無く、軍として戦った以上は猪々子も斗詩も、刑罰の対象として考えられる。
 帝の威光を貶めるとは、それ相応の責を以って贖われなければならない。
 ただ、戦場であったこの場所で罪状を確認し、処罰を行うというのは余りに異端。本来なら帝の御前に引き摺って行き、正式な詮議の場を開いて罪の大きさを表した上で刑の執行を行うはずである。
 街の一角を使ってでもいい。城の近隣を使ってでもいい……しかし華琳が選んだのはこの場所。人の命を対価として支払い勝利を手にした、地獄が作り出されたこの戦場跡であった。
 軍師達は止めず、華琳の言に従った。それぞれで考えるのが曹操軍の遣り方だ。利を判断し、判別し、己が献策
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