§62 後顧の憂い
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陸鷹化の姿が再生される。双方イケメンだし絵にならないこともない。学校で高く売れそうだ。
『ふざけんなお前!!』
『ですよねー』
まぁ期待はしてなかった。
『とりあえず、今はドニのとこにいる。ある程度戦力になりそうになったらそっちに戻るわ』
『おう、わかった』
『死なないでよ?』
『まぁ大丈夫だろう。お前がいれば楽できたんだが、いなくてもやりようならあるさ』
頼もしいヤツだ。
『じゃあすまんね、任せる』
『任された。ゆっくり休んで来い』
通話を切る。呪力は雀の涙ほど。なけなしの呪力を振り絞る。幽世へと繋がる扉を開く。
「ジュワユーズ」
呼び出した少女は浅葱色の長い髪を臙脂色に変色させながら、こちらを見やる。その瞳に色は無い。
「……海を渡り単身死地へ行けというのか、主よ」
「頼めないかな?」
無茶苦茶を言っていることはわかっている。だけど、打てる手は打つに越したことはない。
「今、僕が送り込める最大戦力は間違いなくジュワユーズだからさ」
だからお願い、と頭を下げる。
「……しょうがない、な。死地に送り込むとは全く最低な主様だ」
苦笑とともに気配が揺らぐ。
「……ありがとう。とりあえず倉庫の中身は全部使っていいから」
「大盤振る舞いだな」
「そんくらいしか出来ないからね。護身用に残しておく意味もないし」
第一今の黎斗では扉を開くことすら困窮する有様だ。そこから護身用装備を取り出すことも苦労する。
「ロンギヌス、ジュワユーズと共に」
「! 兄上を、だと……正気か」
驚きに目を見開くジュワユーズだが、これが最善手だろう。
「ロンギヌスがあれば共鳴効果でジュワユーズも性能上がるでしょ」
ベッドの隣にあったメモ用紙をとって書き込んでいく。タラリア、鬼切、蜘蛛切、ダーインスレフ、オハン、愚者の翼、三枚のお札……
「ここにあるのは全部持ってって。あとはジュワユーズの判断で」
書いたのは倉庫の中でもジュワユーズに扱える範囲で最上級の装備品たち。これらがあれば神といえどもそう簡単に遅れはとらないだろう。
「配慮痛み入る」
「無事に帰ってきてよ」
死地に自ら送り出しておきながら酷い言いぐさだと我ながら思う。
「任せておけ。草薙の王もいるのだろう。彼らと合流して私は露払いをしていこう」
流石、歴戦の名剣というべきか。己の限界と役割をきちんと理解している冷静な判断だ。
「そうだね、お願い」
「任されたよ、わが主」
その言葉と共に、ジュワユーズが倉庫へ戻る。
「さて」
打てる手は打った。後は護堂がなん
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