暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
私の弟
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に立つ大柄な斧使いも叫んだ。

「そ、そうだ!!六王なら、すげぇ金とかアイテムとか持ってんだぜ!オイシイ獲物じゃねぇかよ!!」

口々に同意の言葉を喚きながら、賊達は一斉に抜剣した。

無数の金属がぎらりと凶悪な光を放つ。

「レンくん……無理だよ、逃げようよ!!」

シリカはクリスタルを握り締め、必死に叫んだ。

ロザリア達の言う通り、いくらレンが強くてもあの人数相手に勝ち目はない。

だがレンは動かない。武器を実体化させようともしない。

そのレンの様子を諦めと取ったか、ロザリアともう一人のグリーンを除く九人の男達は武器を構えると、猛り狂った笑みを浮かべ我先にと走り出した。

短い橋をドカドカと駆け抜け──

「オラァァァ!!!」

「死ねやァァァ!!」

俯いて立ち尽くすレンを半円状に取り囲むと、剣や槍の切っ先を次々にレンの小さな体に叩き込もうとした。

──が


前奏曲(プレリュード)憤怒(ラース)


「……………………………え?」

自分より幼い少年の体を凶刃が抉る音はいつまで経っても、シリカの耳を震わせなかった。

思わず瞑っていた目を、おそるおそる開けてみると、そこには驚くべき光景が広がっていた。



刀身が消失していた。



男達の手に持っている剣呑な光を宿していた武器は、その中程から断ち切られていた。

その元凶は誰の目にも明らかだった。

先刻まで、何もなかったレンの周囲の空間に色鮮やかな赤のライトエフェクトに包まれた糸のようなものが、浮かんでいた。

やがてその赤い光は消え、その本体となる糸のようなものはすぐに見えなくなった。

「………糸…………?」

そう呟いたシリカの声は、小さく、掠れていたが、男達が完全に沈黙していたため、レンの耳に届いたようだ。

幼い少年は、場にそぐわないのんびりとした声を発した。

「おー、惜しいねー、シリカねーちゃん。正しくはワイヤー、だよ」

「ワイ……ヤー……………」

半ば呆然と繰り返したシリカの言葉に、レンはのほほんと頷く。

「そっ、お手軽なギロチンってとこかな?」

もうシリカはただただ頷くことしかできなかった。

男達に至っては、完膚なきまでに戦意を失ったようで、地面にへたりこんでいる。

「チッ」

不意にロザリアが舌打ちすると、腰から転移結晶を掴み出した。

宙に掲げ、口を開く。

「転移──」

だが、その言葉が終わらないうちに、ロザリアの後ろから転移結晶を取り上げる小さな手があった。

「はい、これはぼっしゅー」

レンだった。

「……は……………?」

「……え……………!」

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