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Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜
sin(罪)の厨房.3

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.3
 いよいよ、店の開店時間がやって来た。
店内にJazzのメロディが流れ始めた。
こんな街の外れの店に、果たして客など来るのだろうか?
賢太郎はそう思っていた。
その思いとは裏腹に、10分程で最初のお客さんが現れた。
落ち着いた雰囲気の老夫婦だ。賢太郎はまだウェイター見習いなので、平泉の動きを見て覚えるよう言われた。
入店したお客様に、平泉はまずそっと近寄りグラスに水を組んで机にそっと置く。
そして、本日のオススメを告げると会釈をして戻って来る。
それから、10分程したら平泉は足早にお客様のもとに駆け寄る。不思議だった。
この店に、呼び出しのベルは無い。しかし、あたかもそれが鳴ったかのように平泉は近寄り
注文を丁寧に聞いて、厨房へ行き、オーダーを告げる。
すると、50歳くらいの男の人がそれぞれに指示を出す。
料理が出てくる前に、平泉はワインを注ごうとしている。
栓を抜き、瓶の底を片手で持ち机の上に置かれたグラスへとワインが注がれていく。
ふと厨房へ目をやると、まだ料理を作る様子がない。
何をサボっているんだろう?
と賢太郎は思い、つい平泉に聞いてみた。

「あの、なぜ厨房の人たちはオーダーをとったのに、まだあんなに落ち着いてジッとしているんでしょうか?」
それを聞いて、平泉はニコリと笑った。
「賢太郎くんには、今彼らがサボっているように見えるのでしょう。フフ、直にわかりますよ。」

平泉がそう言って数分したら、厨房から物音が聞こえる。
また厨房に目をやると、料理人たちが働き出していた。
その音が聞こえたら、平泉はお客様のテーブルに料理のナイフやフォークを用意しにいった。
本当に不思議だった。
まるで、誰も言葉を話しも聞きもしないのに、何かが見えているのか聞こえているかのように、
料理が迅速に、丁寧に、正確に出来上がっていく。

美しい見た目の前菜がお客さんの机に運ばれていった。
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