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Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜
sin(罪)の厨房.2

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「賢太郎くん、君にやってもらいたいのは…」
平泉がそう言うと、若い男が手を上げた。
「八郎さん!用意出来てますよ〜。」
若い男はそう言うと、奥の棚から徐ろに箱を取り出した。
平泉はその箱を受け取る。
「六郎くん、ありがとう。さぁ賢太郎くん、今日から君にはこれを着て働いてもらいます。」
平泉がその箱を開けると、中には黒いベストが入っていた。
「賢太郎くん、見ての通りうちの店には、ウェイターがいません。そこで、今日から君にはウェイターとして働いて貰います。」
「は、はい!よろしくお願いします。」

これが賢太郎と、Bistro sinとの出会いだった。
こうして賢太郎は仕事を見つけた。
それは、賢太郎にとっては初めての経験だった。
ウェイターの経験なんて一度だってない。ただ働ければ、どんな仕事だってやるつもりだった。
だが、当初彼が描いていた「何の変哲もない生活」はもうこの時から、既に全く違うものになっていた。
彼自身、それに薄々気付いてはいたが、さほどそれを気にしてはいなかった。
慣れるまでの、ほんの僅かの事だろう。
そう思っていたからだ。
これから自分が、どんな変哲な生活を送ることになるか
賢太郎はまだ、知る由もなかった。


 兎に角、早く仕事を覚えなくてはと賢太郎は懸命だった。
早速、賢太郎のウェイター修行が始まった。
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