暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
~恋慕と慈愛の声楽曲~
Bittersweet Day
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―――己が主を好いているか。

好きには『Like』と『Love』の二つの意味があるのだけれど、だがカグラとてこと『Love』の暗い部分にだけはあの世界でたっぷり一年半も触れ続けていたのだ。目の前の少女が口にした好きという単語が指し示すのがどちらかなくらい、さすがに予想ができるというものだ。

好き。

好意。

カグラが最初に思ったのは、その疑問の返答についてではなく、その根本的なことについてだった。

すなわち、『好き』とは『愛』とどう違うのだろう、と。

もし『好意』が『愛』と同義なのだとしたら、前述の通り自分はソレを信じたいとも抱きたいとも思えない。いや、抱きたくないというほうが正しいか。

そもそも、両単語の間に明確な違いはあるのだろうか。英語にすればどちらも同じなのだから、やはり同一のものなのだろうか。

しかし一概に英訳すればいいというものでもない。英語圏では日本とは違い年功序列の概念が薄いため、兄弟姉妹がそれぞれブラザーシスターで統合されてしまっている節がある。

そのため日本語との微妙な意味の違いなど、英語では一括りにする事例が多いのではあるが。

この場合は、どっちだろう。

ここで留意してもらいたいのだが、カグラは人ではない。おしべとめしべ的なものから生まれてもいなければ、自然物としての最低限の肉体すら所持してはいない人工の魂である。今この姿は、ただ与えられたマネキン人形と言っても差し支えない。しかも、その見た目さえも彼女の精神とリンクしていない。平たく言えばこの身体は成長しないのである。

生まれた時から、この姿。

その理路整然とした言語、立ち振る舞いから忘れがちではあるが、彼女の実年齢はたった二歳とそこらである。しかもユイのような、知能が錯覚させられるまでに己の研鑽を積むトップダウン型ではない、純然たる人工知能(ボトムアップ型)である身としては、本来成長過程で教えるべき事柄すべてがまったくの白紙状態なのだ。

もっとも、御年二歳の彼女がここまでの言動を身につけているのは、何か知能を超えたものを感じるが。

そこまで思考した時、カグラは脳裏にズキリとした痛みのようなノイズが走ったのを感じた。まるで――――まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ように。

とにもかくにも、好きと愛の違いは何でしょう、という哲学者のような問いにぽんぽん答えられてたまるか。

だからカグラはこう発言する。

『好き』と『愛』の違いとは何ですか?と。










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