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異なる物語との休日〜クロスクエスト〜
休日のC
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「ほんとですねぇ……」

 ゆるみきった顔で疲労をため息と共に吐き出すコハクとオウカ。

 ヒロインたちは今日も平和です。



 ***



 一方、男湯。

「おわぁぁっ!」
「おいおい、大丈夫か」

 入った途端、なぜかそこに落ちていた石鹸で足を滑らせて、リュウが転びかけた。いきなり不運である。

「くそぅ……何故だ……なぜ斯様に神はこの壁を作りたもうたのか……ッ!!」
「多分暇つぶしとご都合主義のためだと思う」

 理央の歯ぎしりをしながらの呟きに対して、セモンはとっさに思ったことを以て回答とした。だってそうなんだもの。あの純白の少年神(アホ)はどう考えてもこの旅館自体をご都合主義で彩っている。だってそうでもなければしめし合わせたかのように宿泊用の部屋がホール二つしか無かったりとか、宴会会場がやけに広かったりとか、なぜか卓球台が一台だけ置いてあったりとかするわけないもの。

 取りあえずそんな異常は置いておいて、さっさと体を洗ってしまう。女性陣と違ってそこまで気にする必要もないセモンの作業は手早い。

「……って何をしてるんだゼツは」

 隣の洗い場に座っているゼツが、その長い黒髪をバスタオルの中に丁寧に織り込んでいた。見慣れない動作に、セモンは思わず質問してしまう。

「え? ああ、俺髪の毛長いからさ、こうやって保湿しないとすぐガサガサになっちゃうんだよ」
「ふーん……大変なんだなぁ」

 コハクも小波も髪型はショートヘアスタイルだし、セモンは言わずもがなである。知人で一番髪の毛が長いのがゲイザーってどういうことなの。

 そんなわけで湯船に向かう。謎の技巧を凝らして創られたその中央には、なぜか一体の、蝙蝠の翼をもった悪魔の石像……ガーゴイルだ。

 ――――何考えてんだ設計者。

 内心で突込みを入れてしまう。本当に今日は突込みのネタが尽きないな。

「うっはぁ……すげー……あぁあ……癒されるわぁ……」
「全くの同感だ……」

 お湯に肩までを沈めると、温泉の暖かさが身に染みる。それに中てられて、思わず年寄くさいセリフを吐き出してしまうセモンと、同じく年長組の来人。

「温泉ってのはいいもんだなぁ……ユクモ村のハンターは羨ましいぜ……」

 しみじみと呟く来人。
 
「イヤッホォォォオ―――――――――――イッ!!」

 歓声の尾を引きながら、雷斗が水面にダイブする。ドッボ――ン!という凄まじい音と共に、水しぶきが上がった。

「おい馬鹿! 何やってんだ!」

 頭から思いっきり湯を被った理音がいきり立つ。

「何って……お約束だろ?」
「マナーを守れマナーを。俺たちゃ静かに入りたいんだぞ」

 何を言っているのか理解で
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