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【短編集】現実だってファンタジー
虫を叩いたら世界は救われるか検証してみた・波の章
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急激に腐敗した王国騎士団。理不尽なまでの第二から第五階級への圧政と差別。挙句、海外で捉えた兵士や攫った女子供を奴隷のように扱う役人や憲兵団たち。
身分の差はあっても皆助け合い、密接にかかわりあって生きてきた美しい国家は、見るも無残な恐怖政治に塗り替えられていた。

彼はそこで王都から逃れた姫と出会い、彼女を守ろうとしてなし崩し的に王国の後継者争いに巻き込まれることになった。
途中で起こる嘗ての旧友との敵対。思わぬ再会と、別れ。そして王国兵が使用する命亡き兵士『骸装鬼兵』の謎。真実を求めながらも姫を助けてくれる人間を探し続けるうちに、少しずつ仲間は増え、そこに絆が芽生えていった。

そして明かされていく真実。
この国を動かす元老院、主要な役人、政治家、円卓将軍会議……その9割以上が、死者の肉体を強制的に禁呪で操られた傀儡へと変わっていたのだ。正者と死者の狭間、無限地獄を彷徨う中で精神を崩壊させられたそれらを操る存在が明らかになった時、彼らの冒険は終局へと向かっていった。

犯人は、王立研究アカデミーから禁呪で全てを操り、この国を滅ぼそうとしていたのだ。
その男――王族の血を引きながらも捨てられ、全てを恨んだその科学者は。

「くはははははははッ!!どうした冒険者たちよ!疲労の色がじわり濃くなっているぞ!?そのまま倒れてくれると我が崇高なる目的を楽に達成できると言うものなのだがなぁッ!!」

一体どのような人生を送れば、このような事態を引き起こすほどの憎しみを募らせることができるのか。王族の立場を追われ、第五階級まで落とされただけで、人間はこれほどに全てを恨めるものなのか。

『クルシイ……クルシイ……シナセテ、クレェ……!!』
『ニクイ!!セイジャガ……クサラヌニクタイガニクイ!!』
『イヤダヨォ……カラダヲ、カラダヲチョウダイ……!』

骸装鬼兵――意志を持った死体。既にもう生身の人間には戻れないにも拘らず、脳の活動が停止していないばかりに記憶や人格を失えず、ただ術者に強制的に操られる。肉の檻に囚われたその兵士たちが、次々に襲いかかる。その中には女性や子供など、明らかに兵士ではないものまでも混じっていた。

耳を塞ぎたくなるような怨嗟の呪言と、助けを求める悲痛な声。冒険者たちに出来るのは、彼らをこれ以上苦しめないために脳を破壊するしかない。それは、人間の頭を潰し続けるという余りにも残酷な行動。この男さえ倒せれば骸装鬼兵を止められるのに、止めるために骸装鬼兵を壊さなければいけないジレンマが冒険者たちを苦しめた。

「くそ……!無関係な人間を一体何人禁呪にかけてきた!こんな……何の関係のない人ばかり、子供まで!何がそんなに憎いんだ!」
「全てが」

科学者は、己の復讐計画の要である「アンビショナル・リアライ
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