Interview11 1000年待った語り部 V
「ちょっと刺激が強すぎたかな」
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「分史破壊はノルマねえ。実にアイツらしい答えじゃないか」
クツクツとリドウは小さく笑った。
最後のインタビュー相手は、分史対策室室長であるリドウである。
「ジゼル補佐とのお付き合いは長いんですか?」
「まあそこそこに。アイツが入社してすぐ同僚になったから、今年で3年目になるね。お互いの家の行き来する程度には仲いいよ、オレら」
レイアがきょとんとした。ルドガーもまた同じだ。若い男女で家の行き来があるとなれば、もうそれは男女交際ではないだろうか。
「ま、大体君らの想像通りの関係。若い子にはちょっと刺激が強すぎたかな」
「そんなわけあるか!」
「そんなことないです!」
重なった。リドウは今度隠さず大笑した。
ルドガーもレイアも互いに恥ずかしくなって俯いた。
(てゆーか家の行き来なら俺とレイアもあるんだった!! レイアが変に意識しませんように!!)
「青春だねえ。下り坂のおにいさんには羨ましい限りだ」
「学生の頃からエージェントをされていたんですか?」
レイアが持ち直し、質問を続けた。リドウは悠々と膝を組んだ。
「仕事を始めた時期自体は遅いぜ。俺は昔、難病を患ってね。臓器のいくつかを黒匣で代用してるんだ。それのリハビリがあったから、他のクルスニク血統者より前線に出るのは遅かったんだよ」
「病身を押して分史対策室に入られたのは、やはりそれが使命だからですか?」
リドウはぱちくりと黄鉛色の目を瞬き、ふいに笑い出した。
虚を突かれたリアクションにレイアも、見守っていたルドガーも面食らい、戸惑った。
「ミス・ロランド。君、先に他のエージェントにインタビューしたんでしょ。それで使命のためって本心から答えた奴はいたかい?」
「あ……」
レイアが返答に詰まり、視線をさまよわせる。ルドガーはとっさに前に出た。
「質問に質問で返すのはどうなんですか、リドウ室長。使命感でないならそうとお答えになればすむ話じゃないですか」
「彼女は真実を書きたいんだろう? ならまずエージェントが使命感なんて崇高な動機で働いてるわけじゃないってとこを知っといてもらわないと。『やはり』なんて接頭句使う時点で、取材対象を前提から理解できてない証拠じゃない」
「それは会話の流れで付けただけで、ロランド記者は――」
「ルドガー」
レイアがルドガーに、揺れながらも強いまなざしを向けている。ルドガーもはっとする。これはレイアの仕事なのに。
「失礼しました、リドウ室長。わたしの言葉が不適切でした。改めて、エージェントを始めた動機を伺わせてください」
「ま、いいけどね。俺の動機は他の奴らより至ってシンプル。そうしないと死ぬからだ」
「死ぬ、ですか」
「役に立つ駒でなきゃ
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