暁 〜小説投稿サイト〜
みらいいろ
絶望の中にある希望
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[1] 最後
「ゾーン……」
 炎に包まれながらも必死に手を伸ばす。常ならば、ロボットに等しいアポリアがこの程度の衝撃を受けたところで何の問題もない。しかし既に壊れかけていた体が更なるダメージに耐えられる筈もなく、彼は力なく地に伏した。その瞳は悲しみに濡れている。
 死力を尽くすも、アポリアの言葉が友へ届くことはなかった。孤独の中でゾーンが導き出した論理はそのままに。勝利することも、彼に希望を思い出させることもできなかった。
 漸く気付くことのできた希望。それを活かせず、何もできないまま生を終えるのは悔やまれる。加えてこのまま終わっては気がとがめる。遊星たちから受けた恩を、アポリアはまだ返せていない。駆け寄ってきた遊星へ向け、気付けばアポリアの口から謝罪の言葉が漏れていた。
「すまない……私はお前たちが与えてくれた希望に、応えることができなかった」
「そんなことはない! お前は俺たちに希望を与えてくれた!」
 しかし遊星から出たのは否定の言葉。事実、彼らは時械神10体の存在を、更に一部とはいえその効果を知ることができた。今まで謎のヴェールに包まれていたゾーンの手の内が、白日の下にさらされたのである。
 それこそがアポリアの成したこと。彼の繋いだ希望がある限り戦えると、遊星は言った。
「そうか。繋がったのだな、未来への希望は……」
 その言葉に他の面々も肯定を返す。
 何も成せなかった。そう思っていたのは、どうやら自分だけであったらしい。希望の架け橋となれたことで、アポリアは僅かとはいえ救われた。
 結果は重要ではあっても、全てではない。行動に結果が伴わなくとも、そこには確かな意味が存在する。実に簡単なことである。
 本当に、最後の最後まで教えられてばかりいるとアポリアは思う。未来を切り開く若者とはそういうものなのかもしれない。そんな彼らへ、アポリアは何かをしてやりたかった。
 無論、何もせずとも遊星たちが気にすることはないであろう。しかしこのまま終わってはアポリアの気が済まない。何よりも、彼が望むのは友を救うこと。「君は必ず希望を、未来を取り戻せ」それがゾーンへ向けた、オリジナル最後の言葉であった。
 故に遊星がゾーンに勝利しても、それだけでは意味がない。ゾーンが希望を取り戻すために、遊星が死ぬ未来をも変えなければならない。これは必須条件。彼の存在こそが救いになると、アポリアは信じていた。
 そのために何ができるのか。あることに思い至ったアポリアは最後の力を振り絞る。彼が手にしたのは自身のパーツ、デュエル・チューブ。残ったエネルギーの全てを注ぎ込み、それを遊星のDホイールへ与えた。
 チューブを取り込んだ遊星号は虹色に光り輝き、あふれ出るエネルギーが翼を成す。そこに赤色の翼が宿ったのを見届け、アポリアは掲げた腕を地に着ける。機械製の腕は瓦礫
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