GGO編
八十八話 鉄火場
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「一か八か!」
そう言うと、彼女は懐から細い空き缶のような物体を取り出す。ピンを抜いて……
「君っ!!伏せて耳ふさいで!!」
「は!?ちょっ!?」
スロットの向こう側に向かって、重いっ気に投げた。数秒後……
バンッ!!!!
と言う音とともに、システム上に設定された強烈な音と光がまき散らされた。
スタングレネード。
実在する手榴弾の一種で、殺傷能力は無いが強烈な音と光で敵勢力を撹乱するのに使われる手榴弾である。
破裂音と同時に、スロットマシンを軸にするように旋回しつつ黒服達の方へと突撃する。少し遠い距離の壁際に居る四人の黒服達はふらついたように千鳥足になっている。気絶《スタン》状態だ。この好きに、ぶった切る!!!
「はァァァっ!!」
鍛えたAGLをフルに使って二十メートル近い距離を一瞬で駆け抜け接近。左足から右足への踏み込みでライトセーバーを再び一閃。首を落とし、踏み込んだ右足を軸に左半の身を反転させて体を180度回転。伸ばした左手の先にあるMP7銃口が黒服の一人に向くや否や発砲。そのまま左足で踏ん張って回転を止め、同じく跳ね返るように左足を前に出して突進する。既に撃たれた黒服は倒れ、MP7の残弾は残り二十発。まだスタンは二秒残っている。一気に三人目の黒服へと接近。後一秒!
『六式……!』
体を思い切り前傾形にして、一気に加速。駆け抜けざまに……黒服の片腕を落とす。そのまま……
「オッ!!」
更に奥に居た一人に向かって……斜め上に向かって振り切ったブレードを……振り下ろす!!
「リャァァァッ!!」
左の肩口から斜め右へと真っ二つに切り裂かれた黒服は、そのままポリゴン片となって消えた。
────
「ふぅぅ……」
ちょっとドキドキだったな〜。そう思いながら彼女は溜息をつく。
しかし……
──ゴトッ……!──
「っ!」
音に対して、反射的に振り向いた。そこに……片腕のままコンバットナイフを腰だめに構えて自分に接近する黒服が居た。
いつの間に接近されたのか、その距離は既に、一メートル近い。反射的に手に持ったブレードで迎撃しようとするが……
『間に合わな……!』
痛みは無いが、訪れるであろう衝撃に反射的に身を堅くした。その時だった。
ドガガッ!!
という聞き覚えのある連射音が短く響き、おそらくは7.62x39弾であろう弾丸が目の前の黒服を吹っ飛ばし、ポリゴン片に変えた。
「さっすが……お見事」
反射的にそちらを見ると、おそらくは初めにグレネードで吹っ飛んだ敵が落としたのであろうAKを両手で持った青年が。ニヤリと笑いながら立っていた。
無意識の内に、口元がほころぶ。
「ありがとっ!!」
それが、彼女と彼の、出会いであった。
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