暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第一章―剣の世界―
第11話?終わりとそれから
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◆◇◇


?――本当に終わったのか…………?

?黒コボルドが消滅しても、頭の中では自分にその問いかけが繰り返される。だが、黒コボルドから手に入れたであろうコルやアイテムが表示されているウインドウが目の前にあるのを確認して、本当に終わったんだということが明確に認識できた。
?それと同時に今まで張り付いていた緊張から一気に開放され、自分の意思とは関係なく仮想の身体が崩れ落ちた。左手に持っていた武器の曲刀アイアンエッジ――かなり耐久値が減っているようで、刃零れが激しい――も手から離れ、カランと音を立てて地面に落ちた。
?何ならここに寝転がりたいという欲望に大きくかられたが、それは危ないしいざという時の対処が遅れてしまうから堪える。
?目だけを動かしてあとの三人を見てみると、コウとカグヤも僕と同じ状態らしく、同じような体勢をとっていた。さすがのカイも今回はかなり体力とメンタルを消耗したようで、僕らと同じように地面に座るまではないとしても槍を杖代わりにして立っている。普段は笑っているその顔にも疲労の色が見えた。
?それを見た僕は今更ボスの方はどうなったのか、と気になり部屋の中央を見ると、ボスはいつの間にかいなくなっていて、代わりにさっきまでボスと戦っていたと思われる黒髪の少年が地面に膝をついていた。どうやらあの人がボスにトドメを刺したらしい。

「これで第一層攻略……だな」

?ずっと少年の方を見ていた僕にカイがやって来てそう言った。もう動ける程度には回復したらしく、槍を杖代わりにせず僕の近くまで来ている。そんなカイを見てカグヤとコウもよろよろとゆっくり立ち上がり始めた。
?僕は地面に落とした武器を左手で拾い上げ、手の中で数回武器をくるくると回した後、お疲れ様と心の中で呟きながら背中の鞘に戻した。これで第一層は攻略したんだ、と少し感慨深い感傷と同時に、まだこれから九十九層もあるのか、という途方もなさが織り混ぜになった気分を味わいながら僕は口を開いた。

「うん……ここから、だね……」
「おう!」

?カイはニッと笑って僕の腕を掴み、強引に僕を立ち上がらせる。……少し力が強すぎる気もするが、気にしないでおこう。
?僕は起こしてもらい、黒コボルドを倒してから表示されたままだったウインドウに目をやる。表示されているのは、今まで見たことがないほどの多額なお金、そしておそらく黒コボルド特有のドロップ品であろうアイテムの数々だった。後でゆっくり見ようと思いながら、ひとまずウインドウを閉じる。
?その作業が終わるのと同時にカグヤとコウも僕の近くまでやって来た。二人も相当疲れているようだが、なんとか大丈夫そうだ。

「みんなお疲れ様。第一層攻略、だね」

?カグヤが笑いながら、僕ら三人に向かって嬉しそうに言った――その顔に疲れの色
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