第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日:『狂信者』
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の学生なら誰でも、初歩の初歩でやってる事だよ)
そもそも、学園都市の誇る『超能力開発』とは、先ずそこに先立つ。あらゆる能力は、先ずは『確率を支配する』ところから始まる。所謂『シュレーディンガーの猫』……『観測されるまで状態不明』を突き詰めて、『不可能を可能にする』という事。つまり、嚆矢がやっている事は────実は、無能力者も含めた『誰もがやっている事』である。
異能力者と言う『強度が有るだけ』で、何も珍しくはない。寧ろ、“ありふれ過ぎている能力”だ。
だから能力研究協力などの仕事や要請は皆無であり、アルバイトで糊口を凌ぐような真似をしているのだから。
「だからこそ、であろう? 当たり前を当たり前としない、天理こそ疑うべきもの。それこそが────革新に至る第一歩よ」
「…………意味が解らん」
「今はそれで佳い。千里の道も一歩から、じゃて。呵呵呵呵!」
鷹揚に笑われた。何の衒いもなく、ただ明け透けに。実のところ、密かに劣等感に感じているその事実を。
だが、そこまで徹底して開けっ広げである為か。不思議と反感は感じない。却って、何か────笑い飛ばされて、逆にスッキリしたような。
──これが、戦国の群雄の一人。最も覇者に近かった者。『魔王』と呼ばれ、それを自認した武士のカリスマ……なのかねぇ。
『成る程、確かにこれは付いていきたくなるかもな』等と考えながら。端正な横顔に刹那、見惚れて。
「ところで……置いていかれておるぞ?」
『あっ……ちょ、皆待って欲しいニャアゴ!』
面と向かってにやり、と嘲笑われてしまう。見れば、確かに『アイテム』の四人は横断歩道の先。
慌てて、疲労困憊の上に負傷から痛む全身に鞭打って走り出す。思い出したのは、少し前の事。というか、昨日今日の話。
ステイルを倒した後、見つけたあの少年。確か、名前は。
──上条 当麻……だったっけか、あの超羨ましい奴。禁書目録と月詠教諭に甲斐甲斐しく世話焼かれてた、あのリア充野郎。
完全に逆怨みだが……あの夜、散々見せ付けてくれたウニ頭の少年。その余りの違いに、またもや鬱になって。
《それはまた。御主とは大違いじゃのう……》
『てけり・り。てけり・り……』
(放っとけ! そして精神の自由の侵害で訴えんぞ化け物コンビ!)
ギリギリで赤に変わった横断歩道を、『大鹿』のルーンの刻まれたカードを発動して駆け抜ける。次々と走り来る車の隙間をショゴスの目を介して捉え、授業で習っ
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