Interview7 「お母さん」
「母親を守ってやらなきゃ」
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感極まって胸板の上に落ちてきたイリスの体躯を、ルドガーは優しく抱き締めた。
身支度を整えたルドガーは、イリスによって、レイアたちが待つという場所へ案内された。
ジュードの研究室から程近い、広めの研究室だった。
そこにはレイアとエルはもちろん、ジュードと、初めて見る顔ぶれが3つあった。
「ルドガー! よかった。元気になったんだね」
レイアが真っ先にルドガーの前に来た。レイアの明るい顔に、やはりルドガーはどきっとした。
「ああ。この通り。心配かけてごめん」
「ナァ〜」
「ホントにみんな心配したんだからねっ」
ルルとエルにもどやされたので、重ねて「ごめん」と言っておく。
「そっちの人たちは?」
「うん。紹介するね。ここの所長のバランさん。それから、アルヴィンと、エリーゼとティポ。わたしとジュードの友達」
アルヴィン、と呼ばれた男が手を挙げた。ふと気づく。褐色系の虹彩――この男、エレンピオス人だ。
「ども。おたくがルドガー? レイアから大体の事情は聞いてるぜ」
「エリーゼです。さっきエルともお友達になりました」『ヨロシクー』
「よろしく。アルヴィン、エリーゼ」
『ぼくはー?』
ルドガーは彼らと順に握手した。最後にティポに恐々と手を差し出すと。がぶりと噛まれた。歯はなかったが、驚いた。
イリスがエルの前に進み出て屈んだ。
「エル。さっき預けた物、出して」
エルはピンクのカーディガンのポケットから何かを取り出した。歯車だ。白金の歯車が集まって出来た球体。
「ありがとう。――ルドガー。これは貴方が持っていて」
「俺?」
「エルが持っていては逆に危険だから。イリスが持っていてもいいのだけど、万が一爛れでもしたら一大事だからね」
ルドガーはエルからそれを受け取り、ポケットに突っ込んだ。
「早速で悪いんだけど、蝕の精霊ってのがどういうものか教えてくれるかな」
バランに促されて、イリスが前に出た。
「改めまして。イリスよ。一応、蝕の精霊ということになってるわ。よろしくしてちょうだい。見てもらえば分かると思うけど、常の精霊と異なり、毒と瘴気で体を構成しているわ」
イリスはカビだらけの職員制服を翻して一回転した。
「服であっても、直接肌に当たっていればいつも黴だらけよ。こんなふうにね。後で替えの服を貰えると助かるわ」
「それは精霊としての力かい?」
「いいえ。正確には属性、あるいは生態ね。イリスがやめたいと願っても、イリスの体は居るだけであらゆるモノを蝕むの」
青白い手がデスクチェアの一つを掴む。すると、イリスが掴んだ部分からデスクチェアはみるみる腐り、中のスポンジを剥き出しにし、バキバキと
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