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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆自己の非同一性
第五十五話 シノンが目指すもの
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た。
「シノンさん、あれをソロで倒すのはかなり難しいですよ。私のような純近接型アタッカーでも奇襲を受けたら倒せるかどうか怪しいと思います。その程度の損傷で済んだのは誇っていいと思いますよ」
「でもそれじゃダメなのよ! 私はもっと強くならないと。どんな敵も私一人で倒せるように、もっともっと……!」
 熱い衝動の片鱗を見せたシノンだったが、彼女はすぐにその感情をしまいこんだ。
「ごめんなさい、こんなこと言うべきじゃなかった。せっかく協力して貰ってるのに」
「それは構いませんが、私はシノンさんが少し心配です。聞いた話によると、七十六層以上に来ているプレイヤーで前線にいるソロプレイヤーは片手で数えきれるほどしかいないそうです。その人達も、例えばストレアさんのように比較的重装備の方ばかりです。シノンさんのように軽装な人がソロでやっていくのはかなり危険なんですよ。何もかも一人でやろうとする必要はないんです。私達も居るのですから」
 シノンはありがとうと礼を言いながらも納得した様子を見せなかったので、イワンはますます困った顔をするより他なかった。


 コンコン、というノックの音がミドリの部屋に響いた。返事をすると鍵が外れ、扉の向こうから顔を出したのはシノンだった。
「どうした、今日は休みだろう」
 シノンが十分に戦闘に慣れたのでミドリたちは攻略に復帰し、以来彼らは週休二日制で攻略に参加していた。今日は日曜日なのでイワンとストレアは買い物に行き、ミドリは自室でスキルMODの取捨選択をしているところだ。
「悪いんだけど、戦闘の訓練をしたいからちょっと付き合ってくれないかしら」
「ああ、いいぞ。あと五分待っててくれるか、もうちょっとだから」
 ミドリはそれだけ言うと再び机の上に広げたホロディスプレイとにらめっこを始めたので、シノンは座る場所として致し方なくミドリのベッドを選択し、やることもないのでミドリの真似をしてスキル構成を見なおし始めた。命中率に補正のかかるMODはすでに全て習得したおかげもあり、シノンの射撃の技能はかなり上達していたが、彼女はまだ満足していなかった。遠距離は現在の弓ではこれ以上の威力は出せないと言える域にまで達している。問題は接近戦だ。たとえ百メートル離れた敵を射抜けても、目前の敵を倒せなければ死んでしまう。強さを追求する彼女としては、接近戦をパーティーメンバーに任せきりにするつもりは全くなかった。

「……よし、こんなもんか。待たせて悪かったな、今日は何をしたいんだ?」
「射撃はとりあえず十分だから、接近戦をもう少しなんとかしたいと思って。その前にちょっとスキルMODについて相談なんだけど……」
 シノンはディスプレイを可視モードにしてミドリに見せた。短剣・体術スキルの熟練度は共に600程度でまだまだ低いが、攻略を始
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